2018年のエンゼルスの先発投手陣を紹介する。
多くの投手がここ1-2年故障に悩まされてきたが、今年になって彼らがようやくケガや手術から復帰できそうだ。今シーズンはケガが癒えた投手陣がどのくらい活躍できるかがエンゼルスの不沈のカギを握る。
先発投手として、昨年1年間ローテーションを守れた(約33試合先発)投手は今のローテの中には一人もおらず、逆にその不安定さが投手6人制の呼び水となり、大谷を獲得できたことは皮肉である。ドジャースのようにローテーションが確立されたチームでは投手6人制の導入は不可能だっただろう。
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- ギャレット・リチャーズ(右投げ、先発)
- マット・シューメーカー(右投げ、先発)
- タイラー・スカッグス(左投げ、先発)
- JC・ラミレス(右投げ、先発)(2018年はトミー・ジョンで離脱)
- パーカー・ブライドウェル(右投げ、先発)
- ニック・トロピアーノ(右投げ、先発)
- アンドリュー・ヒーニー(左投げ、先発)
- ハイミ・バリア(右投げ)(背番号51)
- 大谷翔平(右投げ、先発)
ギャレット・リチャーズ(29歳) (右投げ) (背番号43)
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イケメンの豪腕右腕でエンゼルスのエースだが、ここ2年は故障に泣く
2017年の成績
試合数 | 勝利 | 敗戦 | イニング | 防御率 | 三振 | 四球 | WHIP |
6 | 0 | 2 | 27.2 | 2.28 | 27 | 7 | 0.90 |
2018年は年俸730万ドルの1年契約。今年のオフにはフリーエージェントになる。
カリフォルニア州リバーサイド出身。リバーサイドはエンゼルスのあるアナハイムの東方に位置し、車で1時間弱で到着する距離にある。オクラホマ大学へ進学し、2009年のドラフト1巡目追補(全体42位)でエンゼルスから指名されプロ入り。エンゼルス生え抜きの先発型投手である。190センチの長身から、平均速度150キロを超える速球を中心に組み立てる豪腕型右腕。
エース級の実力を持ちながら故障に泣き続けるガラスのエース
2013年の後半から先発ローテーション入りすると、2014年は13勝・防御率2.61の好成績を挙げ、キャリアの下り坂に差し掛かったエースのジェレッド・ウィーバーに代わってローテの中心となった。しかし、同年8月の試合で一塁ベースカバーに入った際に左ヒザ靭帯を断裂し、残りのシーズンを棒に振ることとなった。
2015年は1年を通してローテーションを守り、15勝12敗、防御率3.65の好成績を上げたが、翌2016年は5月に右肘痛でDL入りし、トミージョン手術はかろうじて避けたものの、残りシーズンは全休。2017年は今度は右腕二頭筋痛で開幕直後にDL入り。結局、登板できたのは9月に入ってからだった。ここまでキャリアで故障なく過ごしたのは2015年のみである。
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大谷加入による6人ローテを支持
エンゼルスでもこれまで先発投手は5人でローテーションするのが当然だったが、エプラーGMから「2018年は大谷を二刀流で起用するため、ローテは6人になる」と伝えられ「勝つために必要なら、何でもすると返事をした」と地元ラジオ局で明かした。故障からの復帰を目指すリチャーズにしても、休養の増える投手6人制は決して悪い選択ではないだろう。
リチャーズの復活がプレーオフ進出のカギ
健康でさえあれば、エース級の働きは期待できる選手である。投手のコマの少ないエンゼルスとしてはリチャーズが完全復活して15勝以上あげないと、プレーオフ進出は難しい。昨年の9月はなかなかの好投を見せたので復活気配ではある。今年の秋にはフリーエージェントになるので、良い契約を取るために今年は何が何でも自分の存在価値をアピールしたい。
マット・シューメーカー(31歳) (右投げ)(背番号52)
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ドラフト外入団から這い上がった苦労人。ここ2年は故障続き。
2017年の成績
試合数 | 勝利 | 敗戦 | イニング | 防御率 | 三振 | 四球 | WHIP |
14 | 7 | 3 | 77.2 | 4.52 | 69 | 28 | 1.30 |
2018年は年俸412万ドルの1年契約。年俸調停権が2年あり、2020年オフにフリーエージェントになる。
ミシガン州出身。2008年にドラフト外でエンゼルスと契約してプロ入り。2013年9月にメジャー初登板。そして2014年はリリーフ投手として開幕を迎えたものの、相次ぐ主力の故障により、先発の椅子が回ってくるとチャンスを掴んだ。結局、この年勝ち星ではア・リーグ4位タイの16勝(4敗)、防御率3.04の好成績を上げ、新人王投票では2位に入った。
相次ぐケガに泣く
2015年は7勝10敗と成績を落としたものの、2016年は8月まで9勝13敗。打線の援護にも恵まれず、負け越してはいたものの内容的には復活と呼べるものだった。が、9月4日のマリナーズ戦で、カイル・シーガーの強烈なピッチャー・ライナーを頭部に受けて、頭蓋骨骨折/脳内出血の重症を負い、緊急手術を受けた。そのままシーズン終了となった。
幸い2017年開幕にはケガから復帰できたものの、6月に今度は右前腕部神経圧迫を発症し、再び手術を余儀なくされ、その後はシーズン全休となった。
ツーシームとスプリットを武器に三振を奪う
平均球速は147キロ程度とそれほど球の速いピッチャーではないが、キャリアで奪三振数457に対し、与四球は119と、非常にコントロールが良く、三振も取れる。特に決め球の鋭いツーシームとスプリットが決まりだすと面白いように三振を奪っていく。健康であれば、エンゼルスではリチャーズに次ぐ、先発2番手の立場にある。
顔の下半分を覆う黒い髭がトレードマークである。
タイラー・スカッグス(26歳) (左投げ)(背番号45)
2009年のドラ1。長身から投げ下ろす期待の左腕ながら、相次ぐ故障で実力を発揮できず
2017年の成績
試合数 | 勝利 | 敗戦 | イニング | 防御率 | 三振 | 四球 | WHIP |
16 | 2 | 6 | 85.0 | 4.55 | 76 | 28 | 1.39 |
2018年は年俸187万5千ドルの1年契約。年俸調停権が2年あり、2020年オフにフリーエージェントになる。
ドラフト1位の期待の左腕
ロサンゼルスのサンタモニカ出身。2009年にエンゼルスからドラフト1位で指名され、プロ入り。大きく曲がるカーブと速球を武器に三振を量産する本格左腕という触れ込みだった。
しかし翌2010年7月、ダイヤモンドバックスのダン・ヘイレン投手を獲得するための交換要員の一人として放出された。(ちなみにダン・ヘイレンの獲得は最近のエンゼルスとしては珍しく上手く行ったトレードだった。エンゼルスの2年半で33勝27敗を上げ、エース級の働きをした)
2012年にメジャーデビューし、2013年までの2年間で13回先発し、3勝6敗。しかし2013年オフにホワイトソックス、エンゼルスとの三角トレードでエンゼルスに復帰した。
4年間、トミー・ジョンを含む相次ぐ故障に見舞われる
しかし復帰した2014年のシーズンは8月にトミー・ジョン手術を受け、2015年末まで全休となった。2016年はマイナーで開幕となったが、今度は上腕二頭筋の腱を痛めてDL入り。メジャーに戻ってきたのは7月後半で、結局10試合しか登板できなかった。
2017年は開幕をメジャーで迎えたが、4月に腹斜筋(あばら)を痛めて再びDLへ。復帰できたのは8月に入っていた。エンゼルスに復帰してからの4年間でわずか44試合しか登板できていない。
エンゼルスでは数少ないサウスポーなので、ローテーションの一角として何年も期待されているが、相次ぐ故障でずっと期待を裏切ってきた。スキャッグスのステップアップがないと、今年も苦しいローテーションを迫られるだろう。エンゼルス躍進のカギを握る一人だ。
JC(ファン・カルロス)・ラミレス(29歳)(右投げ)(背番号66)
ニカラグア出身でWBCにも出場。2017年はエンゼルスの勝ち頭
2017年の成績
試合数 | 勝利 | 敗戦 | イニング | 防御率 | 三振 | 四球 | WHIP |
27 | 11 | 10 | 147.1 | 4.15 | 105 | 49 | 1.34 |
2018年は年俸190万ドルの1年契約。年俸調停権が3年あり、2021年オフにフリーエージェントになる。
ニカラグア出身のジャーニーマン。ウエーバーで拾ったら意外と活躍
ニカラグア出身。父親がキューバ人。2005年にマリナーズと契約してプロ生活がスタート。その後、フィリーズ、インディアンズ、ダイヤモンドバックス、マリナーズ、レッズと移籍を繰り返したが、全てリリーフ登板だった。
2016年6月レッズからウエーバーされ、エンゼルスに拾われる。その年、エンゼルスでは43試合にリリーフ登板し、防御率2.91・2勝1敗1セーブ・WHIP1.19という好成績を残した。
2017年はエンゼルスの勝ち頭
2017年もブルペン陣の一角として開幕ベンチ入りしたが、先発に故障者が相次ぎ、先発投手のお鉢が回ってきた。結局、8月までに27試合登板し(先発は24試合)で11勝10敗(先発としては8勝)、防御率4.15を記録した。しかし9月1日に右肘痛で60日間のDL入りし、そのままシーズン終了となった。
11勝はエンゼルスの投手陣の中では勝ち頭だったが、防御率4.15では安定しているとは言い難く、投げさせてみないと抑えるかどうか分からないレベルだ。先発ローテーションを背負うならやはり防御率3点台に抑えてほしい。
最速98マイルの速球が武器
最速98マイルの速球に、90マイルに達するスライダーのコンビネーションが生命線となっている。エンゼルスに来てからはスライダーのコマンド(コントロール)が良くなり一皮むけた感じである。2017年は初めて投球イニングが100を超えたのだが、それが故障につながった可能性もある。故障から無事復活できるか、エンゼルスのカギを握る一人である。
トミー・ジョン手術で2018年は全休へ(2018年4月28日追記)
今年はわずか2回登板しただけで、ヒジの違和感を再発しDL入りとなった。結局トミー・ジョン手術を受け、2019年後半まで復帰することは不可能になった。29歳という年齢、1年契約という縛りから言って、今後エンゼルスで再起するのは難しいかもしれない。
パーカー・ブライドウェル(26歳) (右投げ)(背番号62)
一度クビになるもエンゼルスに拾われ、ワンチャンスをモノにしてローテの一角に
2017年の成績
試合数 | 勝利 | 敗戦 | イニング | 防御率 | 三振 | 四球 | WHIP |
21 | 10 | 3 | 121.0 | 3.64 | 73 | 30 | 1.20 |
2018年は最大でもメジャー最低保証年俸の51万5千ドル。年俸調停権が5年残っている。2023年オフにフリーエージェントになる。
テキサス州出身。2010年のMLBドラフト9巡目(全体268位)でボルチモア・オリオールズから指名され、プロ入りした。マイナー暮らしが長かったが、2016年8月、初のメジャー昇格。2試合投げたものの、満塁ホームランを打たれるなど結果を残せず、すぐにマイナーに後戻り。結局翌2017年4月にDFAされた(事実上の戦力外通告)。
エンゼルスに拾われた後、変化球に活路を見出す
しかしそこで、投手陣の故障に苦しむエンゼルスが獲得に動いた。わずかのキャッシュと引き換えにエンゼルスへ移籍。エンゼルスでも最初はリリーフで投げていたが、7月初旬まではメジャーとマイナーを行ったり来たりで思うような結果を残せなかった。
そこでエンゼルスは彼にどのコースのどんな球を打たれているのかの分析ビデオを見せ、速球よりも抜いた球を多く投げるべきだとの結論を示した。これはブライドウェルには衝撃だった。というのもオリオールズでは193センチの長身を活かして、ひたすら球速アップとそのコントロールを磨くことを要求されてきたからだ。
7月中旬に再びメジャーに昇格した時、相次ぐ先発投手の故障を受けて、先発ローテーションの椅子が回ってきた。ブライドウェルはそこで速球の比率を下げ、カッター、スライダー、シンカーといった球種を使うようになった。その効果は劇的で、その後の先発した11試合で、7勝1敗をあげ、先発時の防御率は2.88。チームはその間10勝した。7月以降のエンゼルスでは最も安定していた先発投手だった。
エンゼルスに拾われなければ、野球選手としてのキャリアは終わっていたかもしれないブライドウェル。2018年さらなる飛躍を見せられるか。
ニック・トロピアーノ(27歳) (右投げ)(背番号35)
2018年はトミージョンから復活を目指す
2017年の成績(登板なし)
2018年はメジャー最低保証年俸の54万5000ドル。2022年にフリーエージェントになる。
アストロズからドラフト5位指名
ニューヨーク州出身。2011年にアストロズからドラフト5位指名を受け、プロ入りした。その後マイナーを経て、2014年9月にメジャーデビューし、初勝利も上げた。しかしそのオフ、キャッチャーのハンク・コンガーとのトレードでエンゼルスへ移籍した。
2015年はマイナーとメジャーを行ったり来たり。2016年はCJウィルソンらの故障で、チャンスを掴み、13試合に先発、3勝2敗、防御率3.52とまずまずの成績を上げていた。しかし、右肘痛を発症、そのまま8月にトミージョン手術を受け、2016年と2017年の全休が発表された。
トミージョンからの復活をかける2018年
エンゼルスに蔓延するトミージョン組の一人。しかし2018年は健康にシーズンを迎えられる見込みで、調子が良ければ先発ローテーションの一角にも食い込んできそうだ。
アンドリュー・ヒーニー(26歳) (左投げ)(背番号28)
トミージョンから復活も、2017年は4試合の登板に終る。ドラ1の意地を見せられるか?
2017年の成績
試合数 | 勝利 | 敗戦 | イニング | 防御率 | 三振 | 四球 | WHIP |
5 | 1 | 2 | 21.2 | 7.06 | 27 | 9 | 1.66 |
2018年から年俸調停権を得て、今年は1年80万ドルで契約。2021年まで年俸調停権が残っている。2021年オフにフリーエージェントになる。
マーリンズからドラフト1位指名
オクラホマ州出身。高校時代の2009年にタンパベイ・レイズからMLBドラフト24巡目(全体739位)で指名されるも、指名順位に納得がいかず、オクラホマ州立大学に進学。その後2012年に晴れて、マイアミ・マーリンズから1位指名(全体9位)され、プロ入りした。
プロ入り後は順調に昇格し、2年後の2014年6月に初のメジャー昇格。4試合に登板したが、0勝3敗・防御率6.53と結果を残せず、マイナーに後戻りした。そのオフ、マーリンズとドジャースとの複数選手のトレードでドジャースへ移籍。ところがその数時間後にはエンゼルスとのトレードでエンゼルスへ移籍した。
2015年はシーズン後半にエンゼルスの先発ローテーションに定着。18試合に先発して防御率3.49・6勝4敗という成績を記録し、メジャー初勝利も上げた。
相次ぐ故障で、4年間で31試合に登板したのみ
2016年期待されて開幕を迎えたが、1試合投げただけで右肘痛を発症。結局7月にトミージョン手術を受け、翌2017年終了まで全休と発表された。しかし、その後は順調に回復し、2017年8月には予想よりも早く戦列復帰し、4試合に登板した。
しかし9月に今度は左肩痛を発症。チームもプレーオフ戦線から脱落したため、そのまま投げるチャンスなくシーズンを終了した。
期待のドラフト1位だが、メジャー昇格後の4年間でわずか31試合しか投げていない。2018年はようやく健康を取り戻しそうなので、ドラ1の意地を見せられるか。
球界初の株式銘柄に
2015年9月に、米国の投資会社であるファンテックスと契約し、自分の価値を株式として売買することを発表した。発表によるとヒーニーは今後の収入の10パーセントと引き換えに、ファンテックス社から株の販売で得られる見込みの334万ドル(約4億円)を手にすることになった。NFLの選手とはすでに同様の契約を結んでいるファンテックス社だが、メジャーリーグの選手が株式公開されることは初めて。
しかし、ヒーニーはその後トミージョンなどでほとんど投手として実績を残しておらず、年俸もようやく80万ドルに届いた程度だ。カーショウやトラウトクラスならともかく、今のところ、株式としては全く投資対象外銘柄だろう。
ハイミ・バリア(21歳) (右投げ)(背番号51)
16歳でエンゼルスと契約し、ついにメジャーに上がってきた期待のプロスペクト
2017年はメジャーでの登板なし
2018年はメジャー最低保証年俸の54万5000ドル。
パナマ出身の21歳。16歳でエンゼルスと海外フリーエージェント選手として契約。契約金は600万円ほどだった。4年間でルーキーリーグ、ルーキー・アドバンスド・リーグ、1Aと3階層6チームを昇格していき、2017年には大きくステップアップした。その年、1Aでスタートしたが、6月には2A、シーズン終盤には3Aと異例のスピードで昇格し、年間で7勝9敗、防御率2.80、7月にはマイナーリーグのオールスターにも選出された。
ジャイアンツ戦で1人の打者にメジャー記録となる21球を投げた
2018年は開幕はマイナースタートだったが、先発投手の相次ぐ故障でついにメジャー昇格。いきなりレンジャーズ戦に先発して勝利を上げた。そして2回目の先発となったジャイアンツ戦ではジャイアンツのベルト選手に対して、1打席でのメジャー記録となる21球を費やして、最後はライトフライに討ち取った。3-2になってからファウルで粘るベルトに対して、歩かせもせず12球連続でストライクを投げ続けた。
マリナーズのキング・フェルナンデスを彷彿とさせる
バリアは風貌といい投球フォームといい、シアトル・マリナーズのキングことフェリックス・フェルナンデス投手を彷彿とさせる。エンゼルスにようやく現れたイキのいい先発投手だ。リチャーズ、大谷に次ぐ第3の柱になりそうな予感である。
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