GQ Sports「オータニはいかにして野球の楽しさを復活させたのか」(その7)

GQがウェブ上で公開した大谷選手へのインタビューの日本語訳、パート7である。

アメリカの住み心地をどう思っているのか?もし自分が自分と対戦したらどうなる?気になる質問が続く。


クルージングの最中にある場所で、太陽が空中の静電気のように海面で煌めいた時、ショーヘイは新しい自分の家の近くの湾を見渡して、誰に言うともなく「Beautiful・・・」と英語で独りごちた。

スポンサーリンク

こんな日の午後に、ショーヘイのようなプレーヤー、もしくはこの10年を代表する才能の持ち主であるマイク・トラウトが、エンゼルスでなかなか勝てない理由が分からないはずがない。

そうなんだよ。6年続けて勝率5割以下。バルボア島(管理人注:ここのマリーナの超高級住宅地)の住民とマイク・トラウトの両親だけで構成されているかのようなファン層。

野球のスーパースターには奇妙なセッティングだが、筋の通った理由がある。

ダッフィーボートとバナナスタンド。陽の落ちた海のスパークリングウォーター。True Food Kitchenからのテークアウトした料理(ショーヘイのお気に入り)。

これらはシンプルな生活を少しばかり快適で楽にするものだ。もちろんMVPアワードと膨大なマネーも。

ショーヘイはボストンのフェンウェイでのプレーを楽しんでいるかもしれないし(球場の雰囲気や建物自体を)、東海岸の球場を訪れるのも楽しいかもしれない(多くの歴史がここにはある)、シカゴの名物をつまむのも楽しいかもしれない(シカゴ風ピザ)、そして行く先々での全てが楽しいだろう。

スポンサーリンク

近い将来、ショーヘイがエンゼルスからフリーエージェントになるとすればその時が全盛期かもしれない。それは現時点ではどうしようもない。

私はショーヘイに聞いてみた。もしこれから生まれるとしたら、野球の現役時代だけでなく、その先も含めて考えるとして、実感としてはどこへ行きたい?

ショーヘイ
「もし今自分が住む場所を選べるとしたら、アメリカを選ぶかもしれませんね。なぜならここはリラックスしていて、くつろげて、のんびり出来るから。自分のやりたいことが出来るし、煩わしいことがない。特に東京でのライフスタイルはてんてこ舞いに忙しく、いつも何かが動いている。振り返るとここは季候も良いし、のんびりしていてくつろげます」

ア・リーグの新人王を受賞して、今世紀初の二刀流プレーヤーとしての可能性をファンに見せてくれた2018年シーズン以降、ショーヘイは2年目、3年目の多くの時間で守勢に立たされた ― トミー・ジョン手術と膝の手術からのリハビリだ。コロナへの対応もあって、投球したのはわずか2度で、キャリアで最初の暗黒期を脱しようと模索していた。

ショーヘイ
「フラストレーションどころか落ち込んでいました。自分が期待されているのは分かっていましたが、それに応えられない自分がいる。自分にとっても、チームにとっても、良い時の自分はどうだったのかさえ分からなくなっていました。単にケガのせいだったのかもしれませんが。なぜこんなにも上手くいかないのか理由もよく分かりませんでした」

2021年の快進撃は完全なカタルシスだった。本塁打数、長打率、OPSともリーグトップにせまり、投打でWARを積み重ねた。健康なショーヘイはフルシーズンに渡って偉大な二刀流のプレーを見せてくれた。

ショーヘイ
「めちゃくちゃ楽しかったですね」

前代未聞の二刀流のシナリオとショーヘイが昨年マークした史上初の数字を前にすると、決して実現しないけれど、彼が考えたことがあるか聞いてみたい質問があった。

「自分が自分と10打席対戦したらどうなる?」

ショーヘイはイッペイの通訳なしに理解するとケラケラと笑った。そして答える前に深く考え込んだ。球を投げてみる。それを打つ。投球を両方のサイドから考えていた。

「5三振」

彼は数字を分析した。得意分野だった。彼はフルシーズン、過去数十年、世代間で数字を比べるのが好きなのだ。

「1四球」

野球がずっと続いていくことの良いところは、ダラダラしていたとしても、162試合のレギュラーシーズンは過去と現在の調和であって、記録の偉大さを量的に分析して見せてくれることだ。

「1ホームラン」

ショーヘイは野球の歴史にこだわって育ったわけではないが、誰でも知っている現代のプレーヤーの詳細な成績を読み込むのが好きなのだ。しかし一番好きなのは彼の知らない昔のプレーヤーがその時代にどれだけスゴかったかを分析することなのだ。ある時ショーヘイはこう言った。

「過去のビッグネームのことを耳にしたことはあるでしょう。もちろん彼らが良いプレーヤーだったことは分かっている。でも今では彼らが実際にどのくらい素晴らしい選手だったかを知ることも出来るんです」

「1二塁打」

例えば、オータニよりも19歳年上の日本人選手だったコウジ・ウエハラはいくつかの指標によると、この10年で目立たないながらも最も打ちにくいリリーフであったとされる。

「最後の二つはフライアウトとゴロ」

「とっても具体的だ」と私は言った。

彼は笑って

「できるだけリアルに想像したつもりです」

スポンサーリンク

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です