エンゼルスの現有戦力を格付け(野手編)

野手編

シーズンの大部分でトラウト、レンドーンという野手の2枚看板を負傷で欠き、元々打力で勝負するしかなかったエンゼルスは苦しいシーズンを強いられる事となった。ポストシーズン進出がほぼ消えた8月以降、マドン監督は数多くの若手をマイナーから引き上げ経験を積ませた。中でもウォルシュ、アデル、マーシュらが新戦力としてメドが立ったのは来年に向けて大きな収穫だ。

マドン監督の好みなのかエンゼルスには内外野を守れるユーティリティ・プレーヤーが多い。しかしいずれも守備は平均的で、打撃は今ひとつ、どちらかと言うと小柄で、スケールの大きさを感じられない選手が多いように思える。若手を起用するのは大事だがのべつ幕なしに起用すればいいというものではない。経験を積ませれば大きく伸びる可能性がある選手を見極めて使うことが肝要だろう。

またスズキ、アップトン、ゴスリン、ラガレス、ファウラーら先の見えているベテランを整理する作業も必要となるだろう。

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野手の評価にはいくつかセイバーメトリクスの指標を使った。

「DRS」(Defensive Runs Saved)
同ポジションの選手と比較して、何点防いだかを示す守備指標。DRSは0が平均で、例えばDRSが5ならば他の選手よりも5点多く防いでいることになり守備が上手いという評価になる。

「ERS」(Runs Extra Strikes)
キャッチャーの守備指標の一つ。フレーミング(きわどいコースを審判にストライクと言わせる技術)を評価する指標。フレーミングによりボールだった球がストライクと判定されたことで、いくつ失点を防いだかを示す。

「EPAA」 (Errant Pitches Above Average)
キャッチャーの守備指標の一つ。ボールを後逸しない技術を指標化したもの。

なお数字は2021年9月14日現在のものである。

捕手

キャッチャーは打撃以上に守備力が求められる。バント処理などのフィールディング以外にキャッチャーには盗塁阻止、リード、フレーミング、後逸しないこと、ブロックなど多岐の守備技術が求められる。今年のエンゼルスの試合を振り返ると、振り逃げで大谷が勝ち星を逃した試合に象徴されるようにバッテリーエラーによる失点が多かった。

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なお盗塁阻止率は元々肩の良い捕手の時は相手もなかなか盗塁を仕掛けてこないので単純に比較できない。またクイックで投げられる投手がそろっているチームは当然阻止率は高くなる。なのでここでは評価しなかった。

マックス・スタッシ B+ (30歳、右投げ右打ち、OPS .781 , DRS +9, ERS 6, WAR 1.7)
守備力のDRSは69捕手中5位。
フレーミング能力のERSは65捕手中6位
後逸しない能力のEPAAは64捕手のうち16位、

元々守備力を買われて獲得した選手で、肩があまり強くないことを除けば、守備の各指標ではトップクラス。今年は打撃面でも成長を見せた。あとは一流と呼ばれる捕手の領域にどれくらい近づけるかだ。

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カート・スズキ D (37歳、右投げ右打ち、OPS .596 , DRS -11, ERS -5, WAR -0.7)
守備力のDRSは69捕手中68位
後逸しない能力のEPAAは64捕手中48位
フレーミング能力のERSは65捕手中61位

打てない、守れない、走れないのゼロ・ツール・プレイヤー。フレーミングをしようとすらしない下記の動画が話題になったほど。このキャッチングでは投手はたまらない。

かつての輝きは全くなく起用するに値しない。いくら人材不足とは言え、他に誰か見つからなかったのか。大谷と組ませるのは勘弁して欲しい。今シーズン限りの退団は間違いない。バックアップ捕手の確保はエンゼルスの喫緊の課題の一つ。

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マット・サイス ?  (26歳、右投げ左打ち、OPS .452 , DRS 0, WAR -0.1)
2016年エンゼルスのドラフト1巡目指名。メジャーデビューは2019年だが、今年は7月末からのわずか2試合しか出番がなく、ほとんどマイナー暮らしだった。
元々は捕手だが打力を生かすため内野手へコンバートされ、1塁か3塁を守った。しかし現在のエンゼルスは1塁ウォルシュ、3塁レンドーンが固定されているのでこのままでは出場機会はない。そこで今年のマイナーでは再び捕手としての出場が増えた。マイナーでは打率 .277、16本塁打、OPS .870と数字を残している。捕手で出られるのならスズキよりサイスを使えばいいと思うが、ピッチャーのリードもあるキャッチャーというポジションではそう単純には行かないのか。でも使わないと選手は伸びない。来年はバックアップキャッチャーとしてメジャーに定着して欲しい。

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内野手

アンソニー・レンドーン B  (31歳、右投げ右打ち、OPS .712 , DRS -6, WAR 0.0)
今年は腰の故障、手術ですでにシーズン終了。58試合で打率.240、6本塁打、34打点、OPS .712とキャリア最低の成績に終わった。守備面でも良いところがなかった。
元々攻守両面において高いレベルを誇るがメディアの登場が少なかったため「最も過小評価されている選手」の一人と言われていたが、そういう選手に「最も過大評価を与えたチーム」がエンゼルスとなってしまうのか?来年はまさしく真価が問われるシーズンとなる。

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ジャレッド・ウォルシュ A- (28歳、左投げ左打ち、OPS .842 , DRS -1, WAR 2.5)
打率 .272、26本塁打と大きく飛躍した年になった。彼の成長がプーホルスを追い出し、エンゼルスが故障者だらけにもかかわらず5割前後の勝率を残した原動力の一つだった。守備力は平均。来年はさらにパワーと確実性の両面でステップアップを計りたい。

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デヴィッド・フレッチャー A-  (27歳、右投げ右打ち、OPS .653, DRS 10, WAR 2.3)
打撃面でのプラスは安打製造機で三振が少ないこと。一方マイナス面は早打ちの傾向が目立ち四球が少ないこと、ヒットの8割以上は単打と長打力に著しく欠けることである。待球するタイプではないので1番バッターよりも9番に据えた方が良いと思う。
一方守備では非常に貢献度が高い。広い守備範囲を誇り、クイックで確実な送球でダブルプレー完成の名手である。エンゼルスはフレッチャーの好守備で何度もピンチを救われた。2025年まではエンゼルスとの契約が確定している。

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フィル・ゴスリン C  (32歳、右投げ右打ち、OPS .686, DRS -6, WAR -0.1)
ここ5年ほぼ毎年のようにチームを変わり、9年のキャリアでエンゼルスが7チーム目だ。毎年リリースされては1年契約をどこかからもらうの繰り返し。使い勝手が良いので何とかメジャーで生き残ってきたタイプ。
守備面ではキャッチャー以外の全てのポジションを守れるユーティリティ・プレーヤー。エンゼルスではレンドーンが欠場した3塁とアップトンが抜けたレフトを主に守っている。しかし守備はお世辞にも上手いとは言えず、DRS -6はメジャー全野手(今シーズン最低100イニング出場)の617人中542位である。ちなみに最下位の617位はボストンに拾われたホセ・イグレシアスだった。他にもスズキ605位、アップトン601位、レンドーン549位、プーホルス &ホセ・ロハス499位と守備下手な選手がそろっていたエンゼルス・・・・
打撃は平均的でキャリア通算打率が .264、通算本塁打15本だ。今年エンゼルスでは打率 .270、ホームラン5本を打ちキャリアの中では良い成績の方である。と言うか今年の301打数というのは9年のキャリアで最も多く打席に立たせてもらったシーズンだった。
今年は欠場者の穴にピタリとハマったが若返りを図るエンゼルスでは再契約は難しいかもしれない。

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ジャック・メイフィールド B-  (30歳、右投げ右打ち、OPS .645, DRS 1, WAR 0.4)
2塁、3塁、ショートを守る内野のユーティリティ・プレーヤー。今年2月にブレーブスからエンゼルスが金銭トレードで獲得。しかし4月にDFAされると今度はマリナーズが拾った。しかしマリナーズも6月にDFA。それをまたエンゼルスが拾うというまるでキャッチボールのようだ。
キャリアの通算打率は2割を切っており今シーズンも .208と打撃は良くない。しかし今期は56試合の出場で9本塁打を放ち意外な長打力を発揮した。これは17.6打席に1本の割合で、エンゼルスでは大谷の10.8打席に次ぐ2位なのだ。
守備は平均より少々良い程度。レンドーンの抜けた3塁とショートを主に守っている。控えの内野手としては悪くないがレンドーンが復帰すると出場機会は激減する。来季の契約はエンゼルスの若手で伸びてくる選手がいるかどうか次第だろう。

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ルイス・レンフィーフォ C-  (24歳、右投げ両打ち、OPS .509 , DRS 1, WAR -0.4)
外野、2塁、3塁、ショートを守れるユーティリティ・プレーヤー。守備は平均的。
打撃は早打ちで一発狙いのスイング。当たれば確かに飛ぶがあまりにも確実性が低い。守備も打撃も全般的に荒削りである。ベースボールIQも高そうに見えない。
若いのでまだチャンスはあるが、返す返すも2020年2月にドジャースとのトレードを破談にしてしまったのが悔やまれる。

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キーン・ウォン D (26歳、右投げ左打ち、OPS .427, DRS 2, WAR -0.1)
2013年レイズからドラフト4巡目で指名される。しかし6年間でメジャー3試合に出場しただけで2019年DFAされる。それを拾ったのがエンゼルスだったが2ヶ月後には再びDFA。SFジャイアンツに拾われるも一度もメジャーに上がる事なく1年後にリリース。しかしそれをまた拾ったのがエンゼルスという経緯である。
2塁、3塁、外野を守れる守備力があるのはマドン好みだろうが、打力不足は否めず今後メジャーに定着するには打撃面で大幅なステップアップが求められる。

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ホセ・ロハス C (28歳、右投げ左打ち、OPS .669 , DRS -4, WAR -0.4)
2016年エンゼルスがドラフト36巡目(全体1086位)で指名。全体1086位ってほぼ最下位に近い。1年でクビになる選手も多いレベルだ。そこから5年間プロで生き残っているのは大したものである。今年初めてメジャーに昇格し46試合に出場した。128打席で2塁打13本、ホームラン4本を放っているように体は大きくないがパンチ力はある。1塁、2塁、3塁と外野を守れるが、DRS -4と守備は下手な部類。エンゼルスのお膝元アナハイムの出身。来年も生き残れるだろうか?

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外野手

マイク・トラウト A (30歳、右投げ右打ち、OPS 1.090 , DRS -3, WAR 1.9)
今シーズンはふくらはぎのケガが長引き、わずか36試合の出場に終わりそうだ。ケガさえ治れば持ち前の安定した打撃力は健在だろう。問題は守備だ。エンゼルスは大谷がDHに固定されるためどこかの守備位置につかなくてはならない。ふくらはぎのケガはクセになりやすいので安全を期すれば負担の大きいセンターからライトやレフトへのコンバートが考えられる。後継者には俊足、強肩のマーシュがいる。

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ジョー・アデル B+ (22歳、右投げ右打ち、OPS .703 , DRS 0, WAR 0.2)
期待の新人がようやく大器の片鱗を見せ始めた。打率 .246、OPS .703、4本塁打はまだまだ物足りない数字だが、アデルの活躍で勝利した試合がいくつかあった。守備もライトフライをグラブに当ててホームランにしてしまうレベルだった1,2年前に比べるとだいぶ進歩した。来季はライトのレギュラーはほぼ確約されるだろう。才能はずば抜けているのでオールスターに選ばれるくらい爆発的な成長を見せて欲しい。

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ブランドン・マーシュ B (23歳、右投げ左打ち、OPS .684 , DRS -2, WAR 0.2)
トラウト、アップトン、ファウラーと開幕時の外野レギュラーが全員故障でいなくなったため、予定よりも早くメジャーデビューできた。打率 .254は新人としてはかなり良く、バッティングセンスを感じさせる。一方で長打率 .363、1本塁打とパワー不足が顕著。当てて終わりのスイングではなく振り切るスイングが求められる。アマチュア時代はアメフトのワイドレシーバーを兼任していたほどで、走力や肩など身体能力は高い。来季はトラウトに代りセンターを任されるかもしれない。

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ジャスティン・アップトン C- (34歳、右投げ右打ち、OPS .705 , DRS -10, WAR -0.6)
今年もケガが多く、89試合で打率 .211、17本塁打でシーズン終了となりそうだ。元々得意ではなかった守備はさらに劣化した。年俸28Mであと1年残る契約がなかったらとうにリリースされていただろう。
結局2017年9月からの実質3年半の在籍で、平均で年100試合の出場、20本塁打、OPS .764、という数字は全く年俸に釣り合わなかった。プーホルス同様、成績が落ち始める直前に長期契約するというエンゼルスの選手を見る目のなさが露呈した契約だった。アップトンもプーホルスのように来シーズンの前半のうちにDFAされると思う。

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ファン・ラガーレス C- (32歳、右投げ右打ち、OPS .648, DRS 2, WAR -0.1)
2021年にメッツからFAになったが契約が決まらないままでいたのを、2月にエンゼルスがキャンプ招待選手としてマイナー契約し、最終的に1年1.25Mで契約した。
メッツ時代の2014年はセンターのゴールドグラブ賞を獲得するほど守備の名手として鳴らしたが、近年はパッとしない。9月のアストロズ戦では2度、ライトフライを追いかけて転倒しヒットにしてしまった。あれほど簡単に転ぶということは下半身の衰えが激しいのだろう。年齢やアデル、マーシュの台頭を考えると来年の契約はほぼないだろう。

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タイラー・ウォード B- (27歳、右投げ右打ち、OPS .748, DRS -3, WAR 0.5)
2015年エンゼルスのドラフト1巡目指名。今年は5~7月の63試合でプレーした後、マイナーでの試合で肋骨を骨折してしまった。メジャーでは本塁打8本を放ちなかなかの活躍をしていただけに残念だ。元々は捕手だが現在は外野でプレーする。守備レベルはかなり悪く大きなステップアップが必要だ。

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デクスター・ファウラー D (35歳、右投げ両打ち、OPS .536 , DRS -1, WAR -0.2)
今年カージナルスからトレードで移籍。実質的にはカージナルスで不良債権化していたのをエンゼルスが格安で引き取った形。しかし開幕わずか6試合目で左膝前十字靱帯を負傷して手術、シーズン終了となってしまった。本人も復活を強く志していたと思うが、35歳と言う年齢からして復帰は容易ではなくシーズン後に引退が濃厚だろう。

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DH

大谷翔平 A (27歳、右投げ左打ち、OPS .972 , WAR 7.7)
トラウト、レンドーン、アップトンが故障し、小粒となったエンゼルス打線を一人で引っ張った。
日本人初の本塁打王誕生か?ゲレーロJr.と激しい本塁打王争いを繰り広げている。メジャー屈指の長打力を誇り、2ヶ月連続で月間MVPに輝いた6,7月は手がつけられなかった。オールスターにも投打で選ばれ、ホームランダービーにまで出場した。まさにベーブ・ルース以来100年ぶりの活躍を続ける歴史的なシーズンとなっている。
8、9月は調子を落としたがそれでもエンゼルスで最も恐ろしいバッターであることに変わりはなく、敬遠数もメジャー3位の12個だ。
加えてメジャーでもトップクラスの走力を持ち、ボテボテのゴロを内野安打にしてしまう。盗塁数もメジャー8位の23盗塁を記録している。
後ろにトラウトがいればもう少し勝負してもらえたはず。来年は本塁打も打率もさらに上積みして欲しい。

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