ホームランダービー、そして二刀流で出場した大谷選手のオールスターゲーム。野球ファンと言えど、顔見せ興行的な色彩が強いオールスターをこれほど楽しみにしていたことがあっただろうか?大谷選手は我々をとことん楽しませてくれた。
オールスター直前に投稿されたものであるが、USA Today紙に非常に面白い記事が掲載された。書いたのは球界屈指の敏腕記者であるボブ・ナイチンゲール氏。プーホルス、マグワイア、レジー・ジャクソンなど数々の球界レジェンド達の大谷選手に対する声をちりばめた出色の記事である。
スポンサーリンク
特に出だしで、メジャーに来たばかりの大谷のバッティング練習を見てその飛距離に驚いたプーホルスが元チームメートでレジェンドのマーク・マグワイアに速攻で電話をかけたシーンが面白い。
非常に長いのだが読み応えがあるので、3回に渡って日本語訳を紹介したい。
原文
https://sports.yahoo.com/were-uncharted-waters-historic-first-171612942.html
‘We’re in uncharted waters’:
After historic first half, Shohei Ohtani has MLB legends wondering what’s next
「我々は大航海時代にいる」
歴史的な前半戦を終え、ショーヘイ・オータニを見たMLBのレジェンドたちは次に何が起こるのか驚きを隠せない
将来殿堂入り確実な現ロサンゼルス・ドジャースのスラッガー、アルバート・プーホルスは3年前にショーヘイ・オータニがオレンジ・カウンティで打撃練習をしている時にケージ脇に立ち尽くしていた。
プーホルスは最初は何気なしに見ていたが、そのうちに凝視し、やがてぽかんと見とれた。
スポンサーリンク
彼は携帯を取り出すとカージナルス時代のチームメート、マーク・マグワイア(マック)に電話をかけた。マグワイアは23年前にロジャー・マリスのシーズン最多本塁打記録を塗り替えた男だ。
プーホルス
「マック、ちょっと信じられないかもしれないが、日本からうちに来た新人は私のこれまでの野球人生でも見たこともないパワーを持ってるよ。これほどボールを遠くに飛ばす男は見たことがない」
マグワイアはこの時の会話を思い出して、「即座にプーホルスに間違いじゃないのかと問い返したよ」と語った。
マグワイア
「ちょっと待てよ。君が見たこともないパワーだって?君が見てきた時代にはバリー・ボンズ、サミー・ソーサ、マイク・ピアザ、セシル・フィルダー、そしてもちろんマグワイアだっていただろう?」
プーホルス
「だから話した通りなんだよ。見たこともないパワーなんだ。この子を見ればわかるよ」
そして3年後、野球界はこの理外の男を知ることになる。オータニはベーブ・ルース以来の最高のショーを見せた。
オータニはメジャートップの33本塁打を記録している。長打の数もメジャートップの56本だ。打率は .279だが、三塁打はアメリカンリーグでトップタイの4本をマークしている。打点70はメジャーで3位タイだ。盗塁も12あり、オールスター・ブレークまでにこれほどのホームランと盗塁を記録した最初の選手になった。ちなみに投手として4勝1敗、防御率3.49で61イニングで87三振を奪っている。
それに驚くべきことだが、これは最終的に61本のマリスの記録を抜いてアメリカン・リーグの新記録を打ち立てるペースなのだ。
ルイス・ゴンザレス(アリゾナ・ダイヤモンドバックス時代の2001年にオールスター前に35本のホームランを打った(MLBでも歴代5位の記録)偉大な打者)
「オー、なんてことだ!信じられるかい?オータニとベーブ・ルースを比べる話をいやと言うほど聞かされただろう。そして今度は60本打つだって?信じられないよ。彼には是非ともやって欲しいね。もし成し遂げたなら彼は生きる伝説になるだろう。もう彼に日本の居場所はないかもしれない。まるでビートルズだよ」
これから48時間でゴージャスなオータニの才能が見られるだろう。
ホームランダービーではクアーズフィールドで500フィート(152m)かっ飛ばすのを見られるかもしれない。翌日のオールスター・ゲームでは指名打者でファン投票選出されたので1番を打つだろう。
そして、なんとア・リーグの先発投手でもあるのだ。
オールスターの歴史でも最高のショーになるかもしれない。
プーホルス
「彼の能力は私は直接見ているよ。彼が健康体である今、全ての人が彼の能力を目にすることになるだろう。このオールスターは長きにわたって人々の記憶に残るだろう。特にホームランダービーはね。オータニはデンバーの彼方までボールを飛ばしかねない」
マーク・マグワイア
「何てことだ。彼のすごさは見るに値するよ。何というアスリートだ。ホームランの連発はファンタスティックだ。彼がやっていることは常識を越えている。歴史的なことだよ。ベーブ・ルースが生き返ったみたいだよ。彼は簡単にやっているように見えるね。対戦する投手は高低で攻める、ボール球で釣るなどアジャストをしようとするけれど、それでもオータニは球場の外にかっとばしてしまう。ここから見えるライトの紫色の座席にはここが1600メートルの高さだって書いてあるだろ?ショーヘイならそこまで飛ばせると保証するよ」
レジー・ジャクソン、ケン・グリフィーJr、フランク・トーマス、ジム・トーミの殿堂入りスターに加えてさらに4人がオールスター前に30本のホームランを打っているが、今週USA Todayでは彼らに話を聞き、オータニの何を見たいのかとオータニの将来について語ってもらった。
ジム・トーミ
「誰もこんなものは目にしたことがない。何という信じられないほどの偉大なストーリーだろう。もし彼が60本打ったとしたらどうなるか想像できるかい?それは誰もが夢見ることだよ。それはとても魔法のような数字だよ」
レジー・ジャクソン
「もし彼が60本打ったなら、それは信じられない成績だ。間違いなく信じられない」
マット・ウイリアムス(1994年のオールスター前に33本のホームランを打ち、ストライキで終わったこの年に43本でホームラン王になった。韓国のプロチームの監督に収まっているようだが、オータニについてはとてつもなく関心を寄せていた)
「クレイジーだよ。本当に彼がやっていることはクレイジー。DHとして30本のホームランを打つことはすごいが、それでピッチャーもやろうというのだから。たとえ防御率が7.00だったとしても特筆すべきことだ。
私がホームランを打っていた時は後の打順にバリー・ボンズが控えていた。マイク・トラウトはもう2ヶ月も戦列を離れているのに、オータニはそれでもこれだけ打ったんだ。アイ・ラブ・イット!」
Embed from Getty Images
あわせて読みたい記事
スポンサーリンク