エンゼルス激震:プーホルスを戦力外に!

殿堂入り確実のスターでも成績が落ちて給料に見合わなくなれば切り捨てられる世界

5月6日午前、エンゼルスはプーホルスをDFA (Designated For Assignment)にしたと発表した。DFAは日本語では戦力外通告と訳されることが多いが、必ずしもクビを意味するわけではない(後述)。

若い選手に対してのDFAはマイナーで鍛え直して来いという期待を込めた意味合いのことも多い。しかし大ベテランで巨額契約中のプーホルスについては完全にクビと同義語だ。しかし契約最終年とはいえ5月の段階でDFAにしたのは意外だった。

昨日の試合で感じた疑問

昨日の試合プーホルスはベンチスタートで最後まで使われることはなかった。大谷はDH解除せず投手専任で、レンドーン、アップトン、スタッシーはケガ。その結果エンゼルスのスタメンにはDHを含め打率 .000の選手が3人もいた。一方プーホルスはこれまで相手の左腕ヤーブローとは9打数6安打2ホーマーと相性が良かっただけに、なぜ出さないのか不思議だった。結局トラウト、ウォルシュくらいしか頼りになる打者はおらず、実際押し出しで1点を取っただけで終わった。

スポンサーリンク

しかし一部報道によると出る気満々だったプーホルスにベンチスタートを告げたのは監督ではなくフロントだったという。これに対しプーホルスはカンカンで、もしかしたらベンチで一悶着あったのかもしれない。

プーホルスは引退後の10年間もエンゼルスの「球団の顔」として活動することが契約に含まれており、実際本人も引退後にエンゼルスに貢献していくことに非常に前向きだったという。しかし今回のDFAの動きを見るとプーホルスが球団に不信感を持ったとしても不思議ではなく、今後球団とどのような関係になっていくのか注目される。

大失敗のプーホルスとの10年契約

エンゼルスにとって、プーホルスとの10年契約は完全な失敗だった。エンゼルスも10年契約を与えたが「最後の2-3年は期待はしていない、最初の5-6年にMVP級の活躍をしてくれればそれでいい」と思っていたはずだ。

ところが移籍1年目はまだ32歳にもかかわらず急激に成績を落とし以降は悪くなる一方だった。ここ数年はWARはほとんどゼロに近い数字で、それはいてもいなくても戦力には影響しないという意味だ。結局移籍してからの9年間、カージナルス時代の輝きを放つことは一度もなかった。

10年の巨額契約がなければ遅くとも3-4年前には戦力外になっていたはずで、故障も多かったプーホルスをエンゼルスはよくだましだまし使ってきたと思う。

参考記事:エンゼルスの重荷、プーホルス問題を考える(2019年1月25日)

スポンサーリンク

DFAした理由は?

プーホルスをDFAしても今年の年俸3000万ドルは最後までエンゼルスは払う義務がありチームには金銭的なメリットは何もない。唯一メリットなのはロースターに空きができるので代わりに若い人や他チームから取ってきた人をベンチに入れられることだ。

プーホルスの打率2割、5ホームランというのは褒められた数字ではないが、エンゼルスに代わりに入ってそれ以上の成績を上げられる選手がいるかと言えば大いに疑問だ。他チームや未契約の選手を取ってくることも可能だが、今頃そんな良い選手が残っているはずもない。

想像だが唯我独尊で知られる物言うオーナー、アルトゥロ・モレノの堪忍袋の緒が切れたというのが真相かも知れない。しかしプーホルス獲得を強力に推進したのもモレノだったのは周知の事実で、素人が球団編成に口出しすることの愚をいい加減に悟ればいいのにと思う。

プーホルスの今後は?

DFAされたプーホルスは今後どこかから声がかかれば好きに移籍できる。今年の年俸はエンゼルスが払ってくれるので獲得チームにとってリスクはほとんどない。私は古巣のカージナルスに戻ればファンは大喜びだと思うが、カージナルス退団時もケンカ別れだったのでさてどうなるだろうか?

 

DFA (Designated For Assignment
選手を40人枠から外す措置。契約上25人枠から40人枠へ落とせない(ベンチから外せない)選手をベンチから外す時は、DFAして一気に40人枠の外へ出すことになる。シーズン中にDFAされた選手はそのシーズン中は再度40人内に入れることは出来ない。

だがDFAは必ずしもチームとしての戦力外を意味しない。
他チームが獲得しないのであれば、マイナー選手として残って再び翌年以降にメジャー昇格を目指して欲しいという球団の意向があるケースが多い。DFAされた選手は以下の4つの道のどれかを歩むことになる。
(1)他チームへのトレード
(2)ウェーバー公示(ほとんどの場合はこれ。原則非公開で当該選手へ公示を知らせる必要もない。どこのチームからも獲得要請がなかった場合、「ウェーバーをクリアした」と言う)
(3)チームからの解雇
(4)マイナー行き

(1)「トレード」は、DFA発表後に他チームから獲得の打診があった場合、両チーム間で合意に達すれば、そのままトレード移籍となる。トレードなので見返り(交換相手)が期待出来るし、移籍する選手の契約はトレード先がそのまま引き継ぐことになる。

(2)「ウェーバー公示」とは「選手の支配権を放棄」である。期間は2日間でその間に他チームが獲得を申し入れた場合、自動的にそのチームへの移籍が決まる。この場合は相手チームからの見返りは原則ないが、その選手の契約は相手チームが引き継ぐことになる。

プーホルスの場合、実力に比して契約が巨額すぎるので(今年の年俸が3000万ドル)、エンゼルスからその契約を引き継がなくてはならない(1)や(2)での移籍はまずあり得ない。

2日間以内にどこからも声がかからなかったらチームと話し合って
(3)「解雇」は自由契約選手としてチームを去る。
(4)「マイナー行き」はマイナー選手としてチームと契約を結び直し、翌年以降に再び40人枠に登録されるチャンスをマイナーで待つ。

DFAされた選手がたどる道で最も多いのが(4)「マイナー行き」である。
(3)「解雇」は、選手側からそれを要求するケースがほとんど。というのもチームが本当に解雇したい選手の場合は、DFAすることなく直接解雇処分をすればいいわけで、それをせずにDFAにするのは、ウェーバークリア後に何とか残留させたいというチームの意向があるからだ。選手としては「マイナーに落ちるくらいなら、退団して自分で移籍先を探す」という自信がある選手がチームに解雇を要求する。

プーホルスは間違いなく(3)の解雇となり、FAで好きなチームと契約する道を行くことになるだろう。もしどこかのチームが彼と契約しようと思えばメジャー最低年俸58万ドルだけを払えばよく、3000万ドルとの差額はエンゼルスが払うことになる。

ただ打率も上がらない、走力はなくダブルプレーも多い、DH専任か一塁以外守れず守備にも衰えが見える41歳の選手に貴重なロースター枠を与えるチームがおいそれと現れるとも思えない。

スポンサーリンク

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です