考察:なぜドジャースとエンゼルスは10年でこれほど差が付いたのか(1)

2009年、当サイトの前身「現地人が教えるエンゼルス観戦完全ガイド」というサイトを作っていた頃、このような記事を書いたことがあった。

「全米で最もファンの満足度が高いチームにエンゼルス!(ESPN)」

2009年のESPN Magazineの記事ですが、全米の4大プロスポーツMLB、NBA、NFL、NHLの全122チーム中で、ファンにとって最も満足度の高いチームにエンゼルスが選ばれました。ちなみに2位がNHLのカロライナ・ハリケーンズ、3位はNFLのピッツバーグ・スティーラーズです。

このランキングは今年で第7回目で、チケットやグッズの安さ、球場での盛り上げ方やファンサービス、有名な選手がいるか、そしてもちろんそれなりの成績をあげているかなど、さまざまな観点から数字を積み上げて、ランクを決定しています。成績も良く、料金も安くて、ファンサービスもいい。エンゼルスはアメリカで応援するのに最もお得なチームなのです。
ESPNの記事リンク
https://www.espn.com/espn/news/story?id=4297569

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当時のアメリカはリーマン・ショックの影響で経済は停滞し、消費マインドも落ち込んでいた。そんな中、チケットも割安で成績も良く、ファンサービスも評価されていたエンゼルスは当時アメリカのプロスポーツチーム全122チームでファンの満足度の高いチーム・ナンバーワンにランキングされたのだ。

この2009年、エンゼルスはア・リーグ西地区で3連覇を達成し、我が世の春を謳歌していた。

それから11年が経過しエンゼルスの現在地を振り返ると、マイク・トラウトというメジャー最高の選手がいるにもかかわらず、毎年早々とペナント争いからは脱落というシーズンを繰り返している。プーホルスやアップトンという高額の不良債権を抱えて戦力強化は思うように進まず、マイナーに有望な若手もいない。監督やGMはちょこちょこ変わるが、毎年1年契約で落ち目のベテラン投手を拾ってきては「今年もダメか・・」とファンを落胆させている。

昨年、エンゼルスを再建するにはモレノが球団を売却した方がいい、という投稿をしたのだが、その中で私が理想に挙げたオーナーがNBA ロサンゼルス・クリッパーズの現オーナー、スティーブ・バルマー氏だ。2014年にクリッパーズを買収するや改革に着手し、上記のランキングで2009年に122チーム中、最下位(!)だったクリッパーズを2015年には42位まで押し上げたのだ。トップが変わればチームは変われるのだ。

エンゼルス再建の最短ルートはモレノが球団を売却すること

2000年以降のドジャース

2000年代にエンゼルスと対照的だったのがドジャースだ。2004年、ボストンを拠点する不動産業者フランク・マッコート氏が新オーナーになった。しかしこの時点でマッコートはすでに資金的には綱渡り状態だったにもかかわらず、自分の妻を球団社長に据えて好き勝手な球団経営に走り始めた。その後、妻と泥沼の離婚訴訟に陥ると資金の公私混同も激しくなった。そんなオーナー夫妻に嫌気が差した球団幹部は次々と去りチームは弱体化。2010年には負け越しの地区4位に低迷した。

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しかしコミッショナーの介入もあって2012年に元NBA選手マジック・ジョンソン氏らの投資家グループがドジャースの新オーナーになるや一気に体制を整えた。2013年に5年ぶりにナ・リーグ西地区優勝を遂げるとそこから地区8連覇、昨年は念願のワールドチャンピオンにまで上り詰めた。

彼らの恐ろしいところはメジャー2位の総額220ミリオンもの資金を注ぎ込んで強力な選手を集めていながら、マイナーにも有望株がわんさといるところだ。ちなみにエンゼルスもメジャー5位、総額180ミリオンもの年俸を払っているのだが・・・・

なぜドジャースはわずか数年でメジャーとマイナーの両方の強化に成功したのだろうか?エンゼルスのたどってきた10年を振り返りながら、彼我の差を考察してみたい。

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