エンゼルス列伝:ヴラディミール・ゲレーロ(外野手)

イチローよりも確実性があり、松井よりも遠くへ飛ばし、肩と足は最強クラス!まさに天才の野生児!

今年、ホール・オブ・フェーム(殿堂)入りを果たしたドミニカ出身の強肩強打の右打ちの外野手。現在エンゼルスのスプリング・トレーニングの臨時コーチとしてキャンプに参加している。ドミニカから2人目のメジャー選手になったゲレーロは日本から来て、二刀流の挑戦を続けている大谷にも温かい視線を送っている。

エンゼルスの黄金期を支えた戦後最高のバッター

1996年にモントリオール・エクスポズでメジャーデビュー。エンゼルスには2004年から2009年の6シーズンを過ごした。長い手足にドレッドヘア、バットは素手で持つ、まさに野生の天才の風貌だった。素手でバットを握るため、手についた松ヤニで常にヘルメットが汚れているのがトレードマーク。

エンゼルス移籍1年目の2004年は打率.337、39本塁打、126打点を記録し、エンゼルスの18年ぶりの地区優勝の原動力となり、シーズン終了後にMVPに選出された。その後も頼れる主砲としてエンゼルスの黄金期を支えた。

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ゲレーロは2009年オフにFAとなり、テキサス・レンジャーズへ移籍したためエンゼルスは代わりの主軸として松井秀喜を獲得した。その2010年、ゲレーロはレンジャースで29本塁打115打点、打率.300を記録。一方松井秀喜は21本塁打84打点、打率.274とかなり見劣りする成績に終わったため、エンゼルスファンはゲレーロの放出を嘆いたものだ。

 

現代野球で最高のバッター

16年間のメジャー生活で、生涯打率がなんと.318、通算本塁打も449本を誇った。生涯打率はメジャーでは歴代55位にランクされている(最低3000打席以上)。しかしこのランキングの上位者のほとんどは、変化球の種類が現代とは比較にならないほど少ない戦前の打者優位の時代にプレーした人たちである。

戦後生まれでゲレーロより上位にいるのはわずか4人にすぎず、現役では1人もいない。ゲレーロより上の4人も長打よりもシングルヒット狙いに特化した選手という感は否めず、ゲレーロほど確実性と長打力を兼ね備えたバッターはいなかった。ゲレーロは現代野球で最高の打者といえるのではないだろうか。

メジャー通算打率ランキング(戦後生まれのみピックアップ)
18位 Tony Gwynn .3382 (本塁打135)
33位 Wade Boggs .3279 (本塁打185)
34位 Rod Carew .3278 (本塁打92)
53位 Kirby Puckett .3181 (本塁打207)
55位 Vladimir Guerrero .3176 (本塁打449)

ちなみに現役でゲレーロに近いのは

62位 ミゲル・カブレラ(タイガース)  .3168(本塁打462)
64位 ホセ・アルテューベ(アストロズ) .3164(本塁打84)

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三冠王も獲得したカブレラはこのまま引退まで打率を落とさなければゲレーロに匹敵するレベルの選手と言えるだろう。逆に言えばゲレーロは三冠王カブレラを超える存在と言えよう。ちなみに

91位 イチロー .3116 (本塁打117)
143位 マイク・トラウト(エンゼルス) .3060(本塁打201)
146位 アルバート・プホルス(エンゼルス) .3050 (本塁打614)

トラウトは現役最強の打者と言われるが、生涯打率でゲレーロを抜くにはこれから10年くらい毎年.320~.330は打たないといけない。ゲレーロの生涯打率.318がいかに凄いかがわかる。

悪球打ち

ゲレロを象徴するのがどんなボールでもヒットにしてしまう悪球打ちである。生来の反射神経の良さとミートの上手さがあったため、ワンバウンドのボールをヒットにしたり、顔くらいの高さのボールをホームランにすることもあった。また手が長く、逆方向へ流し打つ器用さもあったため、外角へ遠く外れたボールでもライトスタンドへ持っていってしまう。全くもってピッチャー泣かせの打者であった。

ゲレーロの悪球打ちを集めた動画

 

強肩と俊足

ゲレーロは外野手として超一級の肩を持っており、外野の深いところからノーバウンドの矢のような送球を送り、走者をアウトにしてしまうシーンを何度も披露した。ちなみに下の動画、投げているのはエクスポズ時代にゲレーロの同僚だった吉井理人で、引退後は昨年まで日ハムで大谷を教えていた。

また、ゲレーロは足も速く、エクスポズ時代の2000年、2001年にはそれぞれ37、40盗塁を記録している。

しかし、肩の強さ、足の速さは超一流だったものの、守備自体はお世辞にも上手いとは言えなかった。生まれつきの運動神経の良さに頼ってプレーしていたため、若い頃に基本をしっかり教えてくれるコーチに出会わなかったことが原因と思われる。

大谷に捧げる言葉

2018年、エンゼルスのキャンプで臨時コーチを務めるゲレーロは大谷の投球練習を見て「素晴らしいボールを投げていた。エンゼルスの一員になってくれてうれしい。彼はメジャーで成功に必要な要素を全て持っている」と太鼓判を押した。

ゲレーロ「始まりより終わりが大事。始まりは問題ではなく、最後にどんな形で終われるかが重要。いいスタートが切れたとしても、そこから成長して、さらにいい終わり方ができるように目指してほしい。私が(ナ・リーグの)エクスポズからア・リーグのエンゼルスに移籍した時も、最初の1か月はアジャストするのが難しかった。ましてや大谷は違う国から来たのだから、アジャストはさらに難しいだろう。だが、彼の才能は輝くはず。いいスタートを切れるように祈りたい」

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