エンゼルス選手紹介(野手)

2018年のエンゼルスの野手陣を紹介する。現役最高選手のマイク・トラウトを中心にアルバート・プホルス、ジャスティン・アップトン、コール・カルフーンらが主軸を務め、シモンズ、新加入のキンスラー、コザートらが脇を固める布陣はリーグでも強力打線を誇る。

しかし、38歳のプホルスを筆頭に野手は30歳以上の高齢の選手が多いのが気になる。故障やスランプが長引く可能性があることが懸念材料だろう。


マイク・トラウト(26歳) ポジション:センター (背番号27)

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走攻守に秀でたメジャー最高のスーパースター

2017年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.306 33 72 .976 22

2014年に2020年までの6年総額で1億4450万ドルの契約を結んだ。来季年俸は3,325万ドル。

大谷が入団時に茶化す
大谷選手が、入団会見で17という背番号について質問された時、「本当は27にしたかったが、空いてなかったので17にしました」とコメントした時、場内はどっと湧いた。その理由は、背番号27こそ、エンゼルスが誇るスーパースター、マイク・トラウト(26歳)の背番号だからだ。つまり、「トラウトの背番号を狙うとはふてえヤツだ」「まさか27がトラウトの番号だということを知らないわけじゃあるまい」というニュアンスが含まれていたのだ。

毎年のようにMVP候補
2012年から、実質6年間のメジャー生活で、毎年MVP級の活躍を見せ、2014年、2016年と二度MVPとなっている(その他、投票2位も2回もある)。2017年にトレードマークのヘッドスライディングの際、左手親指の靭帯を断裂し約1ヶ月半の自身初のDL入りを経験した。それでもホームランはチーム最多の33本を記録。また走塁でも桁違いのスピードを持ち、2012年には49盗塁で盗塁王にもなったが、リードオフマンから、次第に主軸としてのバッティングを期待されるようになってから、盗塁は漸減している。

守備に関しても俊足を活かした広い守備範囲を誇り、たびたびフェンス際でホームランボールをジャンピングキャッチする。唯一の弱点が肩の強さが平均並みなことと言われている。

ブライス・ハーパーを遥かに超える成績
トラウトは同世代のスーパースターであるワシントン・ナショナルズのブライス・ハーパーとよく比較されるが、成績的にはトラウトが圧倒している。過去6年間の主要な数字を比較するとトラウトが劣っているのは三振の多さくらいで、それ以外は圧勝である。特にハーパーよりも怪我が少なく、殆どの試合に出ていることがすごい。

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過去6年間 試合 打率 本塁打 打点 四球 三振 盗塁 出塁率 OPS
トラウト 885 .309 196 553 562 854 161 .410 .976
ハーパー 768 .285 150 421 455 665 62 .386 .902

トラウトは性格も真面目で謙虚。高校時代からのガールフレンドと2017年に結婚した。ビッグマウスで悪童のイメージが強いハーパーとはここでも対象的である。

ちなみにプライベートでは無類の気象マニアとして知られている。嵐が起きると追っかけているらしい。


アルバート・プホルス(38歳) ポジション:1塁手もしくはDH (背番号5)

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600号ホームランを打ったMLBのレジェンド

2017年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.241 23 101 .672 0

2011年に2021年までの10年総額、2億5400万ドルの契約を結んだ。2018年(7年目)の年俸は2,700万ドル。

「史上最高の右打者」
ドミニカ共和国出身。16歳のときに家族とともにアメリカに移住し、1999年6月、カージナルスにドラフト13巡目(全体402位)という低い順位で指名を受ける。しかし入団後はメキメキと頭角を現し、マイナーはわずか1年で通過、メジャーデビューした2001年に打率.329・37本塁打・130打点という新人離れした成績を挙げた。シーズン終了後にはナ・リーグ新人王を満票で受賞し(史上9人目)、MVP投票でも4位に入った。当時はポジションはまだ固定されておらず、1塁、3塁、外野の守備についていた。ちなみに2001年にはオリックスからカージナルス入りした田口壮選手がチームメートにいた。

その後、カージナルスでは11年間に渡り、毎年3割2分、40本塁打前後の成績を上げ(MVP受賞も3度)、「史上最高の右打者」の呼び名をほしいままにした。そして2011年のオフにFAとなり、エンゼルスと10年総額2億5400万ドルの契約を結んだ。

成績低下に悩むエンゼルス移籍後
期待されて入団したプホルスだったが、エンゼルスでは1年目から打撃不振に苦しんだ。4月の本塁打はゼロ。最終的に12年連続となる30本塁打に到達し、2年ぶり11度目の100打点もクリアした。しかし、OPSは12年目で初めて.900を切り、本塁打数も自己最少にとどまった。
その後も爆発的な打棒は影を潜め、成績は毎年緩やかな下降線を描いた。2017年にはマイルストーンとなる通算600号本塁打を放ったものの、打率.243、本塁打23本とキャリア最低の成績に終わっている。
結局、移籍後の6年間、成績はカージナルス時代には遠く及ばず、一度もカージナルス時代の輝きを放っていない。

通算打率 本塁打(年平均) 打点(年平均)
カージナルス時代(11年間) .328 40.5本 120.8点
エンゼルス時代(6年間) .262 28.2本 98.2点

プホルスが成績を落とした理由、特に打率が大きく低下した理由に足の故障からくる走力の著しい低下がある。度重なる足の裏の故障/手術で、1塁までの到達に恐ろしく時間がかかる。相手からすれば、内野安打の心配がないため、内野守備陣は定位置よりかなり後ろで守ることができる。後ろで守られると鋭い打球でも内野の間や頭上を抜くことが出来ないためヒットゾーンは狭くなる一方なのだ。

また、二塁ランナーの場合シングルヒットではホームに帰って来られない、一塁ランナーとしても普通の選手なら三塁への進塁が十分可能な打球でも二塁止まりということが多く、ランナーとしてはお荷物以外の何物でもない。そのため1点勝負の試合では、終盤には代走を出されることが多い。

復活を期待したい2018年
2018年は二刀流の大谷選手が打者として出場する時はDHに入ると思われるので、プホルスは必然的に本職である1塁を守ることが多くなるだろう。走力の衰えはあるが、ボールを捉える能力、遠くへ飛ばす能力はまだまだ一級品である。伝えられるところでは今オフは3年ぶりに足の手術をしないオフになったため、早くからトレーニングを始めているとのこと。スプリング・トレーニングまでに身体を絞り、スピードを増せばまだまだ通用するだろう。
一方で、プホルスとの契約は2021年まであと4年も残っている。契約内容から言ってプホルスを放出することは事実上不可能なため、2018年もエンゼルスの主軸を打つことは確実だが、打順降格やスタメンから外れるXデイが迫っていると言わざるをえないだろう。
管理人としては、4年とは言わないが、せめてあと2年くらいは例え打順が下がったとしても、スタメンに名を連ねてほしい。

プライベートでは離婚歴のある女性と結婚しているが(プホルズ自身は初婚)、その女性の連れ子がダウン症であったため、プホルス自身も積極的にダウン症児のためのチャリティ活動にかかわっている。性格は誠実で、謙虚、人格者として知られる。カージナルス時代の同僚であった田口壮氏(現オリックス二軍監督)との親交も続いている。


アンドレルトン・シモンズ(28歳) ポジション:ショート (背番号2)

芸術的な守備を誇るメジャー最高のショート

2017年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.278 14 69 .752 3

2018年は総額5800万ドルの7年契約の5年目で、年俸は1100万ドルである。

カリブ海に浮かぶ、オランダ領アンティルのキュラソー島出身。同郷の先輩であり日本の楽天でもプレーしたアンドリュー・ジョーンズに憧れて野球を始めた。

進学したウエスタン・オクラホマ州立大学では投手として最速157キロを計測するほどの強肩を誇っていた。2010年のMLBドラフト2巡目(全体70位)の高い順位でアトランタ・ブレーブスに遊撃手として指名され、実質2013年よりメジャーに定着した。

2016年よりエリック・アイバーの後釜としてエンゼルスにトレードで加入した。

圧倒的な守備力
とにかくメジャー随一の華麗な守備を誇る。三遊間への深い打球が飛んだときこそシモンズの見せ場である。深い位置で捕球して矢のような送球を一塁へ送る。また不完全な体勢からも早く、正確な送球を送ることができる。

過去5年間のDRS(*)はメジャー全選手中ダントツの+120.9点である。2位がSFジャイアンツのブランドン・クロフォード(同じくショート)の+76なので、シモンズの凄まじさがよくわかる。

(*)DRS (Defensive Runs Saved)
平均的な選手を0点とし、その選手に比して守備で何点失点を防いだかを示す指標。例えばあるシーズンのDRSが+5であると、その選手が平均的野手と比べてシーズンで5点防いだということになる。逆に-5ならば、平均的野手と比べて5点余計に与えたということになる。

シモンズはゴールドグラブ賞をショートで3度受賞しているが、この賞はコーチや選手の投票で行われるため、打撃を含めた存在感や印象度などで左右されることが多く、本当に守備の上手さを評価しているとは言い難い。一方、純粋なデータに基づいて、セイバーメトリクスの専門家の投票で選ばれるフィールディング・バイブル賞をシモンズは2013年より5年連続で受賞中である。

エンゼルスでは芸術的な守備で失点を防ぐとともに、打撃でも進歩を見せ、2017年は多くのキャリアハイの数字を記録した(安打数164本、二塁打38本、打点69、得点77、盗塁19、四球47、長打率.421、OPS .752)。このまま打撃成績が伸びれば、実にお買い得な選手となる。

WBCの常連
WBCに出場するとシーズンの調整が狂うという理由で出場を辞退する選手も多いが、シモンズは「WBCに出た方が調子もいいし、祖国代表でプレーしたい」と言い、招集があった13年と17年の過去2回ともオランダ代表として出場している。

趣味は料理。なおオランダ語、スペイン語、英語、フランス語、パピアメント語の5ヶ国語を話すことができるらしい。

今シーズン、エンゼルスの試合を見に行ったら、大谷選手だけでなく、シモンズの華麗な守備にも是非注目してほしい。


コール・カルフーン(30歳) ポジション:ライト (背番号56)

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エンゼルスで貴重な左バッター

2017年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.244 19 71 .725 5

2018年は、総額2600万ドルの3年契約の2年目となり、年俸850万ドル(4年目は球団オプション)。

アリゾナ州出身。アリゾナ州立大学から、2010年にエンゼルスの8巡目指名でプロ入り。2012年にメジャー昇格すると、2013年からレギュラー定着。トラウトとともに数少ない生え抜きのレギュラー野手である。

メジャーの選手としては小柄(身長177cm)ながら、太い体幹を使ったシュアでパワフルなバッティングと、強肩を活かした堅い守備力を誇る。2015年にはホームラン26本を放ち、主軸を任されるようになった。その年ゴールドグラブ賞も受賞した。

これまで主に、プホルスの後の4番か5番を打っていたが、昨年途中から強打のアップトンが加入したため、2018年は5番~7番を打つことになるだろう。エンゼルスには現在、レギュラーの左打者はカルフーンしかいないため、大谷とともに貴重な左バッターである。

2017年は全く打てない月があったかと思うと、急にバカスカと打ち出したりと安定感を欠いた年になった。結局、打率、OPSともメジャー昇格後最低の数字に終わった。2018年は復活をかける年になる。


マーティン・マルドナド(31歳)ポジション:キャッチャー(背番号12)

リーグ屈指の強肩捕手、心強い大谷の女房役

2017年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.221 14 38 .645 0

2018年は390万ドルの1年契約。

10年かけて正捕手の座を掴んだ苦労人
プエルトリコ出身。2004年のMLBドラフト27巡目(全体803位)でエンゼルスから指名されてプロ入りしたが、エンゼルス傘下ではマイナー最下層のルーキーリーグに3年間所属したが打撃で結果を残せなかった。
2007年にミルウォーキー・ブルワーズへ移籍し、メジャー昇格したが、ブルワーズではもっぱら正捕手ルクロイの控えだった。
しかし、2016年オフに再びエンゼルスへ復帰した。元々、打力よりも守備力が長所のキャッチャーだったが、自らもキャッチャー出身で、捕手の守備力を重視するマイク・ソーシア監督から信用され、レギュラーを掴んだ。

リーグ屈指の強肩捕手
2017年は強肩を武器に盗塁刺殺数でア・リーグ1位の29、刺殺率36.2%はメジャー全体で6位、Defensive Runs Saved(DSR)では+10.0でア・リーグ1位である。失策数もわずかに2と安定した守備力と強肩でエンゼルス投手陣をけん引し、ゴールドグラブ賞を獲得した。

ちなみに、Statcastでは二塁への送球の平均速度のランキングを出しているが、2017年のトップ3は

  1. ウィルソン・コントレラス(カブス) 87.2マイル(約140.3キロ)
  2. ゲイリー・サンチェス(ヤンキース) 86.6マイル(約139.3キロ)
  3. マーティン・マルドナド(エンゼルス) 86.5マイル(約139.2キロ)

平均速度では3位だったマルドナドだが、今季盗塁阻止を狙った送球で最速の89.1マイル(約143.4キロ)を記録している。

苦手だった打撃も、打率は.221とまだまだ物足りないものの、ホームラン14本、二塁打19本はともにキャリアハイで、長打力に活路を見い出している。

大谷の入団が決まった際には日本時代の映像を送るよう球団に頼むなど、研究熱心な面も持ち合わせる。大谷にとっては心強い女房役となるだろう。


ジャスティン・アップトン(30歳) ポジション:レフト(背番号9)

驚異的な身体能力を誇り、早くからケン・グリフィーJr.二世と呼ばれてきた逸材

2017年の成績(タイガース125試合、エンゼルス27試合)

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.273 35 109 .901 14

2017年8月31日にタイガースからエンゼルスへ移籍してきた。オフにエンゼルスと2018年から5年1億600万ドルで契約。2018年の年俸は1600万ドル。

高校時代から将来を嘱望された逸材
バージニア州出身。高校時代から俊足巧打のショートとして最高の評価を受けていた。2005年にMLBドラフト全体1位でアリゾナ・ダイヤモンドバックスから指名される。ちなみに、3歳上の兄メルビン・アップトン・ジュニアも、2002年にタンパベイ・デビルレイズから1巡目(全体2位)で指名されており、史上最高のドラフト順位の兄弟である。

驚異的な身体能力を誇るアスリートで、スケールの大きさ、攻守走に優れた素質から、早熟の5ツール・プレーヤー、ケン・グリフィーJr二世と呼ばれる。ダイヤモンドバックスでショートから外野手に転向し、メジャーデビューを果たす。スピードとパワーをともに揃えたプレースタイルでレギュラーの座を掴んだ。

その後ブレーブス、パドレス、タイガースと移籍するが、好不調の波が大きく、なかなか1年を通じて安定した成績を残せていない。11年間のメジャー通算打率は.269とやや物足りない。

しかし、2017年はタイガース/エンゼルス通算で、自己最高となる35本塁打・109打点・OPS .901をマークした。2018年はプホルスの成績低下が一層懸念されるため、トラウトと並んで打線の核となることが期待される。


イアン・キンスラー(35歳)ポジション:二塁手(背番号3)

タイガースから獲得したベテラン二塁手。パワフルで勝負強い打撃を誇り、守備も平均以上。年齢から来る成績低下が心配。

2017年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.236 22 52 .725 14

2018年は契約最終年で、年俸1100万ドル。エンゼルスは、2017年オフにタイガースからトレードで獲得した。

アリゾナ州出身。2000年、2001年と2年続けてダイヤモンドバックスから指名を受けたものの、順位が低いといずれも拒否した。当時のアリゾナ州立大学のチームメイトには同じ二塁手のダスティン・ペドロイア(現ボストン・レッドソックス)がいた。その後、ミズーリ大学に編入し、2003年テキサス・レンジャーズから3度目の指名を受け(17巡目-全体496位)、プロ入りした。

レンジャースでは、勝負強い打撃と、小柄ながらハードヒットする長打力を武器に2006年からメジャーに定着した。特に得点圏おいては通算打率.323、OPS.925と無類の勝負強さを誇り、オールスターにも出場した。しかし、2013年にプリンス・フィルダーとの交換でタイガースにトレードされた。

打撃不振の二塁の穴を埋める存在に
エンゼルスは2017年、ダニー・エスピノザ、クリフ・ペニントン、ブランドン・フィリップスらを二塁手として起用したが、いずれも打撃不振で、昨年の二塁手のOPSは.601でメジャー30球団で最低の数字だった。そこで白羽の矢を立てたのが再建モードに転換したタイガースのキンスラー。これまで球宴4度出場を誇るリーグを代表する二塁手である。打率2割7-8分、ホームランも20本前後は期待できる勝負強い打者で、守備も平均以上。来季年俸は1100万ドルとオールスター級の選手にしては安い。

しかし、問題は2018年6月で36歳になる年齢。昨年の打率が.236とデビュー以来最低だったことも気にかかる。果たして額面通りに1年間働けるのか、そこが最大の懸念材料だろう。


ザック・コザート(32歳) ポジション:ショート&三塁手(背番号7)

レッズからFAで移籍。2017年はキャリアハイの成績。長年の懸案だった正三塁手がようやく決定か

2017年の成績(シンシナティ・レッズ)

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.297 24 63 .933 3

テネシー州出身。レッズから2017年オフにFAでエンゼルスへ移籍。エンゼルスとは3年3800万ドルの3年契約を結んだ。2018年の年俸は1267万ドル。

2007年のドラフト2巡目(全体79位)という比較的高順位でシンシナティ・レッズから指名され、プロ入りした。2012年からレギュラーに定着した。その頃から高い守備力には定評があったが、打撃が課題だった。

しかし6年目の2017年はキャリアハイの打率.297、24本塁打を記録し、オールスターにも初出場した。特に出塁率.385、OPS.933と非常に優秀な成績を残し、オフのFAの目玉の一人だったが、エンゼルスが獲得に成功した。

三塁手として出場か
エンゼルスではメジャー屈指の守備力を持つシモンズが正遊撃手として君臨していることもあり、コザートは三塁手として起用されることになるだろう。実は、これまでエンゼルスの三塁手は長年レギュラーを固定できない穴のポジションだった。プホルスが加入した2011年はそれまで一塁手だったマーク・トロンボ(現ボルチモア・オリオールズ、2016年ア・リーグ本塁打王)の打力を活かし、三塁転向を図ったが、やはり一塁から三塁への転向は簡単ではなく一月持たずに挫折した。

コザートが2017年以上の成績を残してくれれば、長年の懸案事項が一つ片付くことになる。


ルイス・バルブエナ(32歳) ポジション:一塁&三塁(背番号18)

 
エンゼルスでは貴重な左打ち。パンチ力はあるが、打率をもう少し上げたい

2017年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.199 22 65 .727 0

ベネズエラ出身の右投げ左打ちの内野手。マリナーズに17歳で入団後、インディアンス、ブルージェイズ、カブス、アストロズと渡り歩き、2016年オフにFAでエンゼルスへ移籍。エンゼルスとは2年1500万ドルの契約を結び、2018年は最終年だが、2019年に関しては選手側と球団側の双方に選択権のある850万ドルのオプション、または50万ドルのバイアウトとなっている。

通算打率は.228と低いが、アストロズ時代の2015年は25本塁打を記録するなど長打力があり、2013年以降はコンスタントに毎年二桁本塁打を打っている。昨年も22本塁打を放ったが、打率は2割を切り、苦しんだ。

エンゼルスでは数少ない左バッターのため重宝されているが、確実性のアップが課題だ。正一塁手のプーホルスが休養やDHに入る時には代わって一塁を守ることが多い。

大谷については「本当にいいやつだね。全員とコミュニケーションを取ろうとしているし、社交的で大好き。たまに(簡単な)スペイン語も話すよ」と語っていた。


ジェフリー・マルテ(26歳) ポジション:一塁、三塁、外野(背番号19)

2018年は開幕から好調を維持、頼りがいのあるベンチプレーヤーに

2017年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.173 4  14 .576 1

ドミニカ共和国出身。2007年に16歳でメッツと契約してプロ入り。その後、アスレチックス、タイガースとプレーし、2015年にメジャーデビューした。2016年1月にタイガースからエンゼルスへトレード移籍。エンゼルスでは開幕はマイナーだったが6月に昇格すると打率.252、ホームラン15本の成績を上げた。しかし2017年は成績が安定せず、マイナーとメジャーを行ったり来たりで、結局打率.173、4本塁打に終わった。2018年はエンゼルスとは1年55万9000ドルの契約である。

マルテは実は昨年オフに日本に移籍する可能性があった。外国人の大砲を探していた阪神タイガースの候補リストに入っていたからだ。最終的には契約に至らずそのままエンゼルスに残留した。

パンチ力はあるものの安定感にかける打撃が改善ポイントだった。しかし2018年は開幕してから好調を維持し、打率.333、本塁打2本を記録している(5月10日現在)。このまま好調を維持して一皮剥ければエンゼルスの選手層にかなりの厚みをもたらすだろう。


クリス・ヤング(34歳) ポジション:外野(背番号24)

かつては32本塁打27盗塁を記録した万能オールスター選手。カルフーンの不調で出番増加

2017年の成績(ボストン・レッドソックス)

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.235 7  25 .709  3

テキサス州ヒューストン出身。2001年にMLBドラフト16巡目(全体493位)でシカゴ・ホワイトソックスから指名されプロ入り。2005年オフにトレードでダイヤモンド・バックスに移籍すると、翌2006年にメジャーデビューした。2007年にはセンターのレギュラーの座を掴むと打率は.237と低かったが、32本塁打27盗塁を記録し、万能ぶりを印象づけた。2010年にはオールスターにも出場するなどダイヤモンド・バックスの核弾頭として活躍した。

その後、アスレチックス、メッツ、ヤンキース、ボストンと移籍し、出場機会の減少とともに本塁打も減ってしまったが、メジャー12年で185本塁打、140盗塁に加えて広い守備範囲を誇る万能選手である。

2017年オフにFAでエンゼルスへ移籍。エンゼルスとは1年200万ドルの契約を結んだ。トラウト、アップトン、カルフーンの外野陣の控えとして起用されている。しかし、2018年は正右翼手のカルフーンが開幕から絶不調。1割台の打率に本塁打も開幕戦に打った1本のみ。ついにスタメンから外され、ヤングやマイナーから上がってきたブラッシュがスタメンに起用されている。最後の一花をエンゼルスで咲かせられるか。


レネ・リベラ(34歳) ポジション:キャッチャー(背番号44)

イチロー、大魔神佐々木を知る苦労人。大谷も力強くサポート中

2017年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.341 2  12 .999  0

プエルトリコ出身。2001年のMLBドラフト2巡目(全体49位)でシアトル・マリナーズから指名されプロ入り。2004年にメジャーデビューしたがなかなか出場機会には恵まれず、2006年を最後にメジャーでプレーすることは出来なかった。その後、ドジャース、メッツ、独立リーグなどを経て2011年ツインズで5年ぶりにメジャーの舞台へ帰ってきた。その後、パドレス、レイズ、メッツ、カブスと控え捕手ながらメジャーで出場し続けた。

盗塁阻止率3割6分4厘を誇るリベラの守備力に目をつけたエンゼルスは、2017年オフにFAで獲得し、1年280万ドルの契約を結んだ。

2018年、エンゼルスでも正捕手マルドナドの控えという立場だが、マイク・ソーシア監督はリベラにもかなり出場機会を与えている。5月10日現在、打率.283、本塁打2本を記録し、控えながら存在感を放っている。

大谷が投げる時はマルドナドが捕手を務めることが多かったが、5月6日のマリナーズ戦では女房役を務め、マルドナドとはまた一味違ったリードで大谷の勝利を手助けした。

イチロー、大魔神佐々木らを知る日本通
2001年にマリナーズ入りしたリベラは、マイナー時代のキャンプでイチローや大魔神佐々木ら日本人選手の野球への取り組み方を見てきた日本通である。「僕はイチローや佐々木とプレーをしてきたので、日本の選手が練習にどんな姿勢で向かい、取り組むのかを知っている。大谷の練習への姿勢、向上心が強いところも素晴らしいし、それでいて米国式を習おうという意欲もある」と大谷を評価している。


ホセ・ミゲル・フェルナンデス(30歳) ポジション:1塁(背番号20)

キューバから苦難の亡命を経て、ついに待望のメジャー昇格!

キューバ出身。キューバの国内リーグでは8年間で打率.314を残していた。2013年のワールド・ベースボール・クラシックにキューバ代表として選出されると打率.524を残し、メジャー入りを嘱望された。そこで2014年10月キューバからの亡命を試みるも失敗。その後、紆余曲折を経て、2015年12月にようやく国外へ出ることを許された。

フェルナンデスが向かった先はドミニカ共和国だったが、諸般の事情でまだ野球をすることが許されず、1年間は陸上のコーチをしながら、調整に明け暮れた。そして2016年の冬、ようやくドミニカ共和国のウインターリーグでプレーヤーとして復帰した。ここ間、フェルナンデスは3年近くまともに野球をすることが出来なかった。そしてそのプレーぶりを見たドジャースと契約を結ぶことが出来た。契約金は20万ドルだった。

ドジャース入りしたフェルナンデスは2017年、2Aで打率.306を残していたが、不運にも7月後半に腕を負傷してしまいそのままシーズン終了を迎えた。ドジャースとの契約では、シーズン後に40人ロースターに登録するか、契約解除するかドジャースは選択しなくてはならないという条項があったため、ドジャースは契約解除を選び、自由契約選手となった。

そして代わりに契約したのがエンゼルスだった。エンゼルスでは1塁にプーホルスとバルブエナがいるため、なかなかメジャーのチャンスが巡ってこなかったが、大谷が右ヒジを故障したことでプーホルスがDHへ回り、バルブエナのバックアップとして6月8日にメジャーへ初昇格した。

メジャーへ昇格した日に7番1塁で起用されるといきなり初打席でヒットを放った。その後3試合で9打数4安打、打率.444を残し、メジャー定着へ大きな一歩を踏み出した。

エンゼルスとしては貴重な左打者なのでバルブエナの状態を見ながら起用されることになるだろう。


ジャバリ・ブラッシュ(28歳) ポジション:外野手(背番号44) 右投げ/右打ち

身長195センチの恵まれた身体から、豪快に飛ばす未完の大器。打率を残せるようになれば大化けも

2017年の成績(サンディエゴ・パドレス)

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.213 5  16 .675  1

米領バージン諸島出身。2010年のMLBドラフト8巡目(全体252位)でシアトル・マリナーズから指名されプロ入りしているが、実は2007年、2009年とその前にも2度指名を受けているが、いずれもプロ入りを拒否している。その後、パドレスへ移籍し、2016年にメジャーデビューした。その後2017年までの2年間で99試合に出場したものの、打率.200と安定せず、オフにヤンキースへトレードされた。

しかし今年のキャンプ直前にヤンキースからDFAされ、エンゼルスに拾われた。エンゼルスのマイナーでは4月の23試合で打率350、ホームラン10本、OPS 1.291という圧倒的な数字を上げ、不調のカルフーンに代わったメジャーに上がってきた。その後、再びマイナーに落とされたものの、ここまでマイナーの47試合で打率.324、ホームラン18本を記録。6月に再び昇格した。

195センチの大柄な身体から豪快なスイングで打つ、エンゼルスでも屈指の長距離砲だ。まだメジャーでは結果を残せていないが、慣れれば大化けする可能性がある。

しかし打席での構えにはちょっと笑ってしまう。何と両足をピタッと揃えて構えるのだ。そこから大きく左足を上げて振っていく。好調の時はいいが、不調になるとタイミングが取りづらいフォームだと思う。大谷がステップをすり足にして成功したように、もう少し小さなステップにした方が確実性がアップするように思える。

ソーシアは不調のカルフーン、ヤングと言ったベテランよりも、ブラッシュのような将来性のある若手を起用し続けて欲しい。


ホセ・ブリセニョ(25歳) ポジション:キャッチャー(背番号10)右投げ/右打ち

思い切りのいいスイングをする若手キャッチャー。マルドナドをどこまで脅かせるか

ベネズエラ出身。2010年にロッキーズと17歳で契約。その後ブレーブスを経て、2016年からエンゼルスでプレー。2017年のエンゼルスのマイナーでは打率.187とバッティングに苦しんだが、2018年は23試合で打率.261の成績。

5月に控え捕手リベラがケガをしたためメジャー昇格した。メジャーではまだ15打席しか与えられていないが、すでに2本のホームランを放っているように、非常に思い切りのいいスイングをする。攻守両面でまだまだ成長する余地がある。正捕手マルドナドを脅かす存在になってくればチームも活性化するだろう。

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