エンゼルス選手紹介 2021年(先発投手)

2021年のエンゼルスの先発投手陣を紹介する。

強力な先発投手の補強進まず
2020年は期待された大谷の投手復帰は実質的にはかなわなかったが、新戦力のバンディは期待を上回る成績でエンゼルスの実質エースの働きだった。一方でもう一人の新戦力テヘランはコロナウイルスにも感染して合流が遅れ、その後も出れば打たれるで期待外れも甚だしく給料泥棒で終わった。また若手のキャニング、バリア、サンドバルらも大きく伸びたとは言い難かった。

今オフには先発陣からはテヘランとアンドリーズが退団、代わりにホセ・キンターナ(32)をFAで、アレックス・カッブ(33)をトレードで獲得した。二人とも過去にマドン監督の下でプレーしたことがあり、マドン人脈の中での獲得だろう。しかしいずれもピークを過ぎた感は否めなず、ベテランを短期契約で獲得し、働けば儲けものというやり方から今年も脱却できなかった。

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それにしてもエンゼルスの中南米好きは相変わらずだ。昨年コロンビア人のテヘランで大失敗したにもかかわらず、今年も同じくコロンビア人のキンターナを獲得。別にコロンビア人に恨みはないが、少しは日本人投手を検討してはどうか?マエケン、ダルビッシュ、田中とメジャーでエース級の働きができる投手を獲得するチャンスもあったはずだ。また菅野、沢村、有原らの日本からMLB挑戦組なら比較的安い金額で獲れたはずだ。何よりも西海岸のチームは日本人に人気なので交渉でも有利だと思うのだが。

さて2021年の予想される先発ローテーションは、バンディ、ヒーニー、キャニング、キンターナ、カッブそして大谷である。

しかし1番大きな先発の底上げは大谷が健康体で1年間ローテーションを守ってくれることだろう。大谷の実力ならば10~15勝は投手で貢献できるはずで、そうすればチームの8年ぶりのプレーオフ進出も見えてくる。


ホセ・キンターナ(32歳、185cm、左投げ)(背番号62)

軟投派で7年連続30先発の鉄腕!昨年は故障もありほとんど投げていないのが気がかり

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2020年の成績

試合数 勝利 敗戦 イニング 防御率 三振 四球 WHIP
4 0 0 10.0 4.50 12 3 1.300

カブスからFAで移籍。2021年は800万ドルの1年契約。

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コロンビア出身。昨年大失敗に終わったフリオ・テヘランに続き、2年続けてコロンビア出身の先発投手を補強した。

プロ入りはテヘランより1年早い2006年にメッツへ。メジャーデビューは2012年ホワイトソックスで。その後ホワイトソックスでは先発に定着し6年間で50勝54敗、防御率3.52と好成績を上げた。2016年にはオールスターにも出場した。

2017年シーズン途中にカブスへトレードされると、4年間で33勝23敗と勝ち星は先行したものの、防御率は4.24とホワイトソックス時代に比べるとやや見劣りした。

2013年から2019年まで7年連続32試合以上に先発するという鉄腕振りだったが、2020年は親指の手術等に見舞われ、先発1試合リリーフ3試合のわずか10イニングの投球で終わった。オフにFAになると、エンゼルスと1年800万ドルで契約した。カブス時代に監督だったマドン氏の引きがあっての入団だろう。

あまり上背はなく、ストレートの平均球速は92マイル(148km)ほどで、カーブやチェンジアップを交えて打たせて取るピッチャー。メジャー9年間でBB9(9イニング換算の与四球)は2.5と制球力には定評がある。

コロンビア出身というのもそうだが、何年か前の鉄腕振りはスゴかったが近年は成績に陰りが出てきたので1年契約で、と言うのも大失敗のテヘランに似ている。大丈夫だろうか?


アレックス・カッブ(33歳、190cm、右投げ)(背番号38)

オリオールズでは故障がちで不良債権化。マドンは再生できるだろうか?

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2020年の成績

試合数 勝利 敗戦 イニング 防御率 三振 四球 WHIP
10 2 5 52.1 4.30 38 18 1.338

トレードでオリオールズより移籍。2021年は4年契約の最終年で1500万ドルだが、そのうち1000万ドルはオリオールズが負担する契約で、エンゼルスは実質500万ドルで獲得。

マサチューセッツ州出身。プロ入りは2006年ドラフトでタンパベイ・レイズより4巡目(全体109位)で指名。2011年にメジャー昇格。2013年は11勝3敗、防御率2.76、2014年は10勝9敗、防御率2.87と2年連続で好成績を上げた。しかし2015年は故障者リストで開幕を迎えると、5月にトミー・ジョン手術を受けた。

2016年9月に復帰すると、翌2017年には12勝10敗、防御率3.66と復活を印象づけた。FAとなった2018年3月にオリオールズと4年5700万ドルの大型契約を結んだ。

2019年は故障のためわずか3試合、12.1イニング投げただけで終わった。コロナ禍の2020年は10試合に先発して2勝5敗、防御率4.30だ。結局オリオールズ移籍後の3年間で7勝22敗、防御率5.10と全くの期待外れで、最終年を迎える前に事実上不良債権化していた。

2021年3月、エンゼルスは23歳の俊足内野手ジャーメイ・ジョーンズ(2015年エンゼルス2位指名)とのトレードでカッブを獲得。今年の年俸1500万ドルのうち1000万ドルはオリオールズが負担するという契約内容だったが、ジョーンズを差し出す必要があったのだろうか?

直球の平均球速は91マイル(146km)で、カーブ、ツーシーム、チェンジアップを織り交ぜる。先発投手のランクとしてはチーム3-4番手だろう。

カッブもタンパベイ・レイズ時代にマドン監督の下で投げており、マドン人脈でのエンゼルス入団であろう。マドンはカッブの1番いい時期を知っているだけに、まだ復活できるとみているのだろうか?


ディラン・バンディ(29歳、185cm、右投げ)(背番号37)

キャリアハイの成績を上げた2020年。いい意味で期待を裏切り、実質的にエンゼルスのエースを担った。今年も活躍を期待!

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2020年の成績

試合数 勝利 敗戦 イニング 防御率 三振 四球 WHIP
11 6 3 65.2 3.29 72 17 1.036

2019年12月にマイナー4選手とのトレードでオリオールズからエンゼルスに移籍。2021年の年俸は832万ドル。来年にはFAになる。

2020年は彼の6年のキャリアでも最高の年だった。それまでの5年間で38勝45敗、防御率4.57という平凡な成績だったのが、コロナ禍で60試合の短縮シーズンながら6勝を上げ、防御率3.29はエンゼルスの先発投手ではトップだった。ヒーニーやテヘランらがパッとしない中で実質的にはエースの働きだった。

まだ29歳と若く、今年も昨年以上の成績が期待されている。

バンディのこれまで

ドラフト全体4位のエリートだった高校時代。トミー・ジョン後に球速が落ち、期待にはほど遠い球歴

高校時代には100マイルの速球を投げ、2011年のドラフト全体4位でボルティモア・オリオールズに指名されてプロ入りした。ちなみにこの年の全体1位がヤンキースに行ったゲリット・コール、全体6位がエンゼルスに来たアンソニー・レンドーンである。

期待されたバンディだったが、3年目の2013年にトミー・ジョン手術、2015年は右肩痛で約2年半投球することができなかった。復帰した2016年にローテーション入りすると、その後の4年間で103試合に先発し、毎年150イニング以上の投球を続けている。エンゼルスでも30試合、180イニングは期待されている。

高校時代はケタ外れの速球を投げていたが、トミー・ジョン手術後は球速が落ちた。所属していたボルチモア・オリオールズは、ここ2年で223敗もしているリーグのお荷物チームのなので勝ち星が積み重なっていかないのは仕方ないとしても、キャリア通算防御率が4.67というのはドラフト全体4位にしては寂しい。


グリフィン・キャニング(24歳、188cm、右投げ)(背番号47)

ローテーションの核になるべく飛躍が期待される若手!

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2020年の成績

試合数 勝利 敗戦 イニング 防御率 三振 四球 WHIP
11 2 3 56.1 3.99 56 23 1.367

2021年はメジャー最低保障年俸(約57万ドル)。

エンゼルスのお膝元、オレンジカウンティのミッション・ビエホ市出身。2015年ドラフトではコロラド・ロッキーズから38順目指名を受けたが、入団せずUCLAへ進学。その後2017年にはエンゼルスから2巡目(全体47位)で指名され入団した。

先発投手不足の台所事情もあって、入団から2年もたたない2019年4月にはメジャーデビューした。しかし8月下旬に右肘痛を発症してそのままシーズン終了となった。

2020年当初はやや不安定だったが、最後の5試合は防御率3.14をマークし、尻上がりに調子を上げて締めくくった。ルーキーシーズンはスライダーを多投したが、2年目はカーブに磨きをかけた。今年はローテーションを担うことが期待されている。


アンドリュー・ヒーニー(29歳、188cm、左投げ)(背番号28)

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エンゼルスでは先発一番手だが今ひとつのイメージから抜け出せない。今年はFAを控え大幅な成績アップを期す

2020年の成績

試合数 勝利 敗戦 イニング 防御率 三振 四球 WHIP
12 4 3 66.2 4.46 70 19 1.230

2021年は1年675万ドル。今年のオフにフリーエージェントになるので大型契約を取るために大きく成績を上げたいところだ。

過去3年間、スキャッグスが急死し、大谷もトミー・ジョン手術、キャニングやバリアの若手は発展途上とエンゼルスの先発陣が総崩れの中、ローテーションの筆頭を担った。しかしプロ入り7年間で24勝29敗、防御率4.44という成績は平凡すぎる。故障も多く今年ステップアップできないようならオフにFAでの高額契約どころか、途中放出やジャーニーマンに成り下がる可能性もある。

ヒーニーのこれまで

マーリンズからドラフト1位指名
オクラホマ州出身。高校時代の2009年にタンパベイ・レイズからMLBドラフト24巡目(全体739位)で指名されるも、指名順位に納得がいかず、オクラホマ州立大学に進学。その後2012年に晴れて、マイアミ・マーリンズから1位指名(全体9位)され、プロ入りした。

プロ入り後は順調に昇格し、2年後の2014年6月に初のメジャー昇格。4試合に登板したが、0勝3敗・防御率6.53と結果を残せず、マイナーに後戻りした。そのオフ、マーリンズとドジャースとの複数選手のトレードでドジャースへ移籍。ところがその数時間後にはエンゼルスとのトレードでエンゼルスへ移籍した。

2015年はシーズン後半にエンゼルスの先発ローテーションに定着。18試合に先発して防御率3.49・6勝4敗という成績を記録し、メジャー初勝利も上げた。

2016年期待されて開幕を迎えたが、1試合投げただけで左肘痛を発症。結局7月にトミージョン手術を受け、翌2017年終了まで全休と発表された。しかし、その後は順調に回復し、2017年8月には予想よりも早く戦列復帰し、4試合に登板した。

しかし9月に今度は左肩痛を発症。チームもプレーオフ戦線から脱落したため、そのまま投げるチャンスなくシーズンを終了した。

2018年はようやく健康を取り戻し、キャリアハイを大きく更新する180イニングを投球し、ドラ1の意地を見せた。

球界初の株式銘柄に
2015年9月に、米国の投資会社であるファンテックスと契約し、自分の価値を株式として売買することを発表した。発表によるとヒーニーは今後の収入の10パーセントと引き換えに、ファンテックス社から株の販売で得られる見込みの334万ドル(約4億円)を手にすることになった。NFLの選手とはすでに同様の契約を結んでいるファンテックス社だが、メジャーリーグの選手が株式公開されることは初めて。

しかし、ヒーニーはその後トミージョンなど故障がちで実働に乏しく実績を残したとは言い難い。カーショウやトラウトならともかく、今のところ株式としては全く投資対象外銘柄だろう。


ハイミ・バリア(24歳、185cm、右投げ)(背番号51)

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現在の構想では先発から外れてマイナーで開幕。新戦力の出来や故障者次第ではローテーション復帰もある

2020年の成績

試合数 勝利 敗戦 イニング 防御率 三振 四球 WHIP
7 1 0 32.1 3.62 27 9 1.113

2021年はメジャー最低保証年俸(約57万ドル)。

2020年は先発で5試合に投げた。制球力が向上し(BB9=2.5)、WHIPも前年の1.440から1.113へと大きく改善しランナーを出さない投球をしていた。ちなみにこの数字は大谷のルーキー年のWHIP(1.160)を上回ってる。しかし今年は先発の駒が揃っていることもあり(質はさておき)、開幕はマイナーで迎えることとなった。ただ新戦力のキンターナ、カッブらが使い物にならなければ案外早くメジャー昇格してローテーションに入ってくる可能性もある。

これまでのバリア

16歳でパナマからエンゼルスへ

パナマ出身の21歳。16歳でエンゼルスと海外フリーエージェント選手として契約。契約金は600万円ほどだった。4年間でルーキーリーグ、ルーキー・アドバンスド・リーグ、1Aと3階層6チームを昇格していき、2017年には大きくステップアップした。その年、1Aでスタートしたが、6月には2A、シーズン終盤には3Aと異例のスピードで昇格し、年間で7勝9敗、防御率2.80、7月にはマイナーリーグのオールスターにも選出された。

ジャイアンツ戦で1人の打者にメジャー記録となる21球を投げた
2018年は開幕はマイナースタートだったが、先発投手の相次ぐ故障でついにメジャー昇格。いきなりレンジャーズ戦に先発して勝利を上げた。そして2回目の先発となったジャイアンツ戦ではジャイアンツのベルト選手に対して、1打席でのメジャー記録となる21球を費やして、最後はライトフライに討ち取った。3-2になってからファウルで粘るベルトに対して、歩かせもせず12球連続でストライクを投げ続けた。

故意にメジャー昇格とマイナー落ちを繰り返された2018年
2018年、エンゼルスは投手に故障者が相次ぎ、加えてリリーフ投手を早めにつぎ込むのを好むソーシア監督の投手起用法もあって、投手の絶対数が足りなくなってしまった。苦肉の策として先発したバリアをマイナー落ちさせ(1度マイナー落ちさせると10日間はメジャーに上げられないルールがあるため)、代わりの投手を10日間登録するという方法で投手を確保した。このためバリアは10日に1度メジャーに上がって先発しては、マイナーに落ちるというサイクルを8月いっぱいまで繰り返すことになった。MLBで「オプション」と呼ばれる1シーズンに何度でもマイナーに落とせる契約条項が残っている先発投手がバリアだけだったためこのような起用法になった。

過酷な移動、精神的な負担も大きかっただろうが、結果としてはエンゼルスの先発投手の中では唯一の二桁勝利(10勝)を上げ、最も優れた防御率(3.41)を残した。

期待を裏切った2019年
2019年開幕当初は5番手スターターのポジションだったが、開幕直前にジャイアンツからクリス・ストラットンを駆け込みで獲得した関係でバリアはマイナーに落とされて大きくモチベーションを落としてしまった。結局ストラットンは0勝2敗、防御率8.59と全く使い物にならなかった一方で、バリアをマイナーで腐らせるというまさに最悪のトレードだった(ストラットンは5月にパイレーツへ放出された)。バリアはその後メジャーに上がったが、このシーズンは4勝10敗、防御率は3.41から6.42へと3点以上も悪化し大きく期待を裏切った。ルーキーイヤーに比べ見るからに体重も増加し、コンディション調整にも失敗したように見える。

復活を期した2020年
バリアによると、2019年は首脳陣の方針でツーシームよりもスライダーを多く投げさせられたことも成績を落とした原因だという。新監督のマドンはルーキーイヤーのようにツーシームを多く投げるように方針転換したとのこと。バリアも冬の間にパナマで毎朝走り込み、キャンプ時には昨年よりも6~7kg体重を落として現れた。


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