GQ Sports「オータニはいかにして野球の楽しさを復活させたのか」(その5)

GQがウェブ上で公開した大谷選手へのインタビューの日本語訳、パート5である。野球の救世主といわれれる事について大谷はどう考えているのか?


スミスが前提としたことの一部を受けて、私はショーヘイにこう言ってみた。君はいわゆる野球界の顔になった。球界には今の君のやり方が必要だ。自分自身やチームのためだけではなく、球界全体を代表することに新しいプレッシャーはあるかい?

ショーヘイ
「プレッシャー以上のものがありますね。でもそういうことを言われるのは実にうれしいこと。そのために私はここに来たのです。最高のプレーヤーになるために来たのです。『球界の顔』と言われることは非常に歓迎すべき事です。それが今後のさらなるモチベーションになります。なぜなら昨年は初めて満足な成績をあげられましたが、まだたったの1年です。だからこそそれを続けて、もっと素晴らしい年にするためのモチベーションになるのです」

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野球を真に救ってくれるのは誰であるべきかという議論は、長年の人気凋落に裏付けされた絶望的な認識の延長上にあり、とにかくも野球界は救世主を必要としているのだ。

野球が再び繁栄するためには、何か壊れているもの、少なくとも不活性化しているもの、そして根本的なもの、それらの順番を変えなくてはならない。
現在機能しているもので、それでも試合の中で変えたいと思うものはあるかとショーヘイに訪ねた。彼は考えた末に言った。

ショーヘイ
「正直に言えば、今は全てのことに満足しています。何かを大きく変える必要はありません」

しかし私はこう言った。「自分が感じられる範囲で、野球は集団的な文化想像力において地位が低下していると多くのアメリカ人が直感している」

特に、野球への愛と映画への愛がまったく同じ瞬間に目覚めたような作家にとっては、ハリウッドが興味を持つ唯一のトピックはベースボールのように思えたのだ。

多くの映画が生まれた野球の黄金時代について、列挙すると

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Bull Durham (1988)
Major League (1989)
Field of Dreams (1989)
Mr. Baseball (1992)
A League of Their Own (1992)
The Sandlot (1993)
Rookie of the Year (1993)
Angels in the Outfield (1994)
Little Big League (1994)

ちなみにショーヘイはこれらの映画を一つも見ていない。日本のプロ野球にアメリカ人が登場するMr. BaseballやRudy (1993)さえも見ていない。

普通の8歳のアメリカ人が結論を下すことができようか?すなわちベースボールはアメリカ人の生活にとって最重要な教科書ではなくなったということだ。

ソーサとマグワイヤの熱狂の夏の後、ステロイド・スキャンダルを経て、スポーツコンテンツの世界では日の出の勢いのNBA、生き返ったNFL、プレミアリーグやF1などの海外からのテレビ中継などが大量に入り込んで、野球は20年間衰退し続けた。過去を振り返って、いかに平穏の日々が終焉へ向かい続けたのかを理解することは易しい。アメリカの世紀の揺るぎない象徴だったベースボールが日の当たる世界から消えていく様は容易に想像できる。

それでもなお、それでもやはり、ショーヘイは私の最終的な予見に対して言いたいことがあった。

ショーヘイ
「ベースボールはここで生まれ、私は個人的にはベースボールがアメリカで最も人気のスポーツであって欲しいです。ですからもしそのために自分が貢献できる事があれば、何でもする用意があります。でも世界の野球人口に目を向けるとサッカーやバスケットボールに大きく水をあけられています。なぜなら野球が盛んなのはほんの一部の国だけだからです。でもそんな国での野球の存在感はとても大きい、信じられないほど大きいのです」

彼が言わんとするところは、野球は死んだというのは極めてアメリカ中心的な考え方だと言うことだ。彼が言わんとするところは、野球は死んだという考えから逃れられないのならば、日本に行ってみるがいいと言うことだ。

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