(特別編1)コービー、ヘリ墜落の詳細(CNNより)

日曜日の朝、いきなり知人からメッセージが入った。
「コービー・ブライアントが亡くなって残念でたまりません」
え、何?どういうこと?
それから米メディアのサイトを開くと、トップニュースはコービーのヘリが墜落し、彼が死亡したというニュースの速報だった。

驚いた!あり得ない!

コービー・ブライアント。バスケの知識のない人でも彼の名前くらいは聞いたことがあるだろう。1990年代がマイケル・ジョーダンならば2000年代はコービーの時代だった。今ではすっかり珍しくなったが同じチーム(レイカーズ)一筋で20年間過ごし、その間レイカーズに5度のチャンピオンリングをもたらしたバスケ界の英雄である。

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そのコービーの乗っていたヘリコプターがLA西北にある山地に墜落し、13歳の次女と共に世を去ったのだ。享年41歳の若さだった。

地元LAはもちろんのこと、全米に衝撃を与えた。どのくらいの衝撃かというと、日本で言えばイチローが事故死したと想像してみればわかるかもしれない。とにかく、そのくらいの大事件だ。

コービーがヘリコプターでの移動を好んでいることはよく知られていた。我家の隣人は飛行機乗りで、自分が駐機しているオレンジ・カウンティ空港(通称ジョン・ウェイン空港)の滑走路でコービーがヘリに乗り込むところを良く見たそうだ。

NBAのレジェンドとして知られるコービー・ブライアントは2016年の引退後もオレンジ・カウンティのニューポート・コーストと言う街に住み、子供の学校、子供のバスケの試合のある体育館、スーパーマーケットなどで頻繁に目撃され、ファンからの写真や握手のリクエストに快く応えていた。私の子供もサウスコーストプラザという近くのモールでコービーを発見して喜んでいた。コービーに比べると、同じオレンジ・カウンティに住むはずの大谷選手の目撃情報などほとんど聞いたことがない。ウサギとツチノコくらい違うかもしれない。

私はレイカーズファンではないし、特にコービーのファンというわけでもないが、オレンジ・カウンティに土着し、セレブにもかかわらず、地元のアマチュアバスケ試合などに頻繁に顔を出していることに好感を覚えていた。

私はコービー死亡のニュースを聞いた時、ちょうど自分の次女のゴルフ練習に付き合っていた時だった。このニュースを聞いた後は上の空になってしまい、練習に全く集中できなくなってしまった。コービーと一緒に亡くなった13歳の次女はバスケに打ち込んでいたという。コービーも娘の上達を願って、きっと一生懸命娘の練習に付き合っていたに違いない。そういうことを考えると悲しみが込み上げる。

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CNNの本家サイトにコービーのヘリ墜落の詳細記事がアップされた。とても詳細な内容なので日本語訳を紹介したい。


日曜の朝、コービー・ブライアントのパイロットは特別な許可を得ていた。パイロットとエア・コントロールとの最後の交信が事故の重要な手がかりとなるだろう

(CNN)NBAレジェンドのコービーを含む9人が亡くなったヘリコプター事故の調査員らは手がかりを洗い出しているが、パイロットとエア・コントロールとの最後の言葉が空が濃霧状態だったことを表している。

国家輸送安全委員会(NTSB)によると、パイロットのアラ・ゾバヤン氏は雲の層を抜けるために上昇すると告げた。NTSBのメンバーであるジェニファー・ホメンディ氏は「しかしエア・コントロールがどのようなプランなの尋ねたが返事はなかった」と語った。

日曜の朝、視界はとても悪くLA警察は自分たちのヘリは離陸しないよう決めたほどだった。

しかし親子たちや偉大なアスリートを巻き込んだヘリの事故原因についてはいまだ不確かである。

ブライアント(41)と娘のジアンナ(13)はサウサンド・オークスで予定されていたバスケットボールの試合に向かっていて、コービーはコーチを、娘は出場する予定だった。

亡くなった8人の乗客は子供とその保護者だった。ジアンナのチームメート2人とその保護者、バスケットボールチームのアシスタントコーチもいた。パイロットのゾバヤンも亡くなった。

どうやってパイロットは特別な飛行許可を得たのか

事故の直前、パイロットはSVFR許可を得ていた。SVFRとはスペシャル・ビジュアル・フライト・ルールのことでパイロットとエア・トラフィック・コントロールとの間の録音に残っていた。

SVFR許可とは通常の有視界飛行ルールで想定される許可条件よりも天候が悪くなった時にパイロットに飛行を許可するためのものだ。

CNNの輸送アナリストのピーター・ゴエルズ氏
「パイロットは天候が急変した時は飛行中にSVFR許可をリクエストすることもよくある。この許可が与えられるとエア・トラフィック・コントロールとパイロットは緊密な連絡を取り合うことになる。SVFR許可自体は極めて普通のことだが、それが推奨されるということではない」

NTSBのジェニファー・ホメンディ氏
「パイロットが飛行区域の特別許可をリクエストした後、エア・トラフィック・コントロールがSVFRを許可するまでヘリコプターは12分間旋回を続けていた。バーバンクとバン・ナイズの空域に高度1400フィート(426メートル)で入る時、他機との衝突を避けるためパイロットはレーダーでの誘導を頼んだ。しかしエア・トラフィック・コントロールはレーダー誘導を受けるには高度が低すぎると伝えた。

パイロットのゾバヤンは「もっと高度を上げるつもりだ」と答え、エア・トラフィック・コントロールもそれに応答した。しかしその後の連絡はなかった。レーダーのデータではヘリは2300フィート(701メートル)まで上昇すると左に下降旋回を始めた」

レーダーでの最後のコンタクトは午前9:45だった。その3分後、ヘリは墜落した。

ホメンディ氏は「果たしてゾバヤンはSVFR許可を与えられるべきだったのか調査することになるだろう」と言った。

パイロットは豊富な飛行経験を持っていた。

ホメンディ氏によるとゾバヤンは熟練のパイロットで、2019年7月時点で8200時間の飛行経験があった。

ゾバヤンは墜落したシコロスキーS-76Bを所有・運行するアイランド・エクスプレス・ヘリコプター社で働いていた。

同社の書状でのコメント
「事故の調査のため我々はNTSBと緊密な連携を取っており、最初の通報者と現地関係者に感謝しています」

NTSB調査官はパイロットの記録、天候情報、エア・コントロールとの通信、残骸などを調査の一環として調べている。

航空アナリストのマイルズ・オブライアン
「あのヘリは信頼性が高く安全で能力があります。まるで馬車馬のように飛び回ります。エクゼクティブにとってはリンカーン・タウンカー(注1)のように飛んでくれるのです。それがビジネスヘリコプター航空業界に必要なことであり、このシコロスキーにはそれがあるのです」

(注1) リンカーン・タウンカー
フォード社が2011年まで製造していたアメリカを代表するセダン。アメリカのセダンでも最大級のサイズを誇り、ブッシュ時代には大統領専用車にも使われた。過酷な業務使用を想定して耐久性や補修容易性に優れ、アメリカでは60万キロ以上営業運転に使われることも多い。

ヘリコプターは衝撃で粉々に砕けた

ホメンディ氏
「衝撃のためにヘリは粉々に砕け、500-600フィート(152-182メートル)の範囲に残骸をばらまいた。残骸は標高1085フィート(330メートル)より上で発見されている。丘の一部にぶつかったようで、尾翼の一部はその丘の下部と左手で見つかった。胴体はその丘の反対側にあり、メインローターはさらにその100ヤード(91メートル)向こうで見つかった。

ロサンゼルス郡警察のアレックス・ヴィラヌエバ氏
「地形が険しく、当初、調査隊が残骸のある場所に行くのは大変だった。最終的にはブルドーザーで道路を作り現場にたどり着いた。事故を知った人が現場をちょっとでも見ようと押し寄せて、そこへ行くのを難しくした。緊急の条例が出され、現場へ許可なく立ち寄ることは違法となった。馬の背状の起伏の多い地形の現場は警官らによってパトロールされている」

3人の少女が同乗していた

バスケットボールの試合に行く途中の3人の少女も犠牲になった。アリッサ・アルトベリはギアンナのチームメートで父親と一緒にヘリに乗っていた。父親はオレンジ・コースト・カレッジ(OCC)の野球部のコーチ、ジョン・アルトベリで、母親のケリ・アルトベリも一緒だった。OCCのアシスタント・コーチのロン・ラルーファによるとジョンは娘の試合を見るためにいつも同行していた。

ペイトン・チェスターとその母サラ・チェスターも亡くなったが、ペイトンの祖母キャッシー・チェスターはフェースブックにこう投稿した。

「世界は偉大なアスリートの喪失を嘆いていますが、私には大事な二人が亡くなったことで悲しみに暮れています。彼らの存在はとても大きく、その喪失は鋭い痛みとなり、私たちの心臓は破れてしまいそうです」

ペイトンの出た小学校の校長トッド・シュミットもフェースブックに寄せた。

クリスティーナ・マウサーはコロナ・デル・マーにある私立学校の女子バスケチームのアシスタントコーチで、彼女も亡くなった。

彼女の夫であるマット・マウサーはフェースブックにこう書いた。

「子供も私も打ちのめされている。美しい妻と母を失ってしまった」

世界のファンは悲しみを乗り越えて助け合いへ

コービーは中国からイタリアへと少年時代の多くを過ごしたことで、イタリア語も流ちょうになったが、悲しんだファンはブライアントの世界的に与えたなインパクトを思い出した。それはプレーヤーとしてだけでなく、人間としても。

ブライアントはチャリティにも積極的で、アフタースクール・オールスター、がん撲滅、そしてもちろん世界中の恵まれない人々を助けるコービー&バネッサ・ブライアント・ファミリー財団でも。

今、ファンや企業はブライアントの慈善事業のレガシーを推し進めようとしている。

チケット仲介大手のStubHubは金曜日のレイカーズ対ポートランド・トレイルブレイザーズのチケット販売で得た収益は全てコービー&バネッサ・ブライアント・ファミリー財団に寄付するとアナウンスした。

日本では赤十字社のブライアントをフィーチャーしたビデオが再び広く拡散している。

このビデオは2011年の地震と津波で亡くなったおよそ2万人の犠牲者とさらに多くの家を失った人々をサポートするために作られたものだ。その中でブライアントは「NBAのファミリーは日本の人々、地震と津波を乗り越えようとする人々とともにあります」と語った。

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