LA Times紙:オータニがヒットを打つたび、エンゼルスは大儲け

6月に入り、ライバルの日本人選手である菊池雄星、前田健太から立て続けにホームランを打つと、レイズ戦ではサイクルヒットまで達成してしまった。乗りに乗っている大谷選手だ。今年は打者専業なのでほぼ毎日試合に出ており、日本人観光客も大勢観戦に訪れているようだ。

地元紙LA Timesが大谷選手効果でいかにビッグマネーがエンゼルスにもたらされているか、またツーリズム、小売業など広い範囲で大谷効果と呼べるほど大きなインパクトをもたらしているかがレポートされている。日本語訳を紹介したい。

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Angels’ Shohei Ohtani brings in dollars as he bangs out hits

(オータニがヒットを打つたび、エンゼルスは儲かる)

その一団は一斉に飛び上がった。ショーヘイ・オータニがホームランを打った時、オータニのスウェットシャツを着た100人ほどのファンが祝福のために立ち上がった。彼らはハグしたり、ハイファイブしたりした。そこでスマホの写真をアップすることもお決まりだった。

その一団は日本からアナハイムへ、オータニのプレーをエンゼルスタジアムで見るためにやって来たのだ。日本では野球の試合は楽しげな大騒ぎ、特にたくさんの唄で満ちており、日本のファンはおとなしく座っているようなことはしない。特に日本からの打者が打席に立った時は。

オータニ 「ネクストバッターズサークルにいる時に日本語の応援が聞こえます。私にとって力になります。それはホームゲームだけでなく、アウェイの試合でもです。支えになるし、自信にもなります」

1年半のメジャー生活で、オータニは3つの脅威をもたらした。バッターとして、ピッチャーとして、そして経済的なインパクトを与える存在としてだ。この日アナハイムに現れたオータニのファンの一団は全員が日本で旅行産業に従事していた。日本から南カリフォルニアへの旅行はすでに大きなビジネスになっているが、旅行業界では大谷人気でさらにシェアが高まることを熱望している。

日本の旅行代理店で働くダイスケ・サトウ 「みんな彼を見るためにここに来るのです。ディズニーにも行きますが、大谷がお目当てなのです」

東京でオンライン旅行ガイドを出版する会社に勤めるケイ・シバタ 「オータニがプレーするところは是非見たいですね。そうすれば彼についての記事も書けます」

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シバタは冗談めかして言ったが、次の記事は『オータニを見る以外にアナハイムでやるべき事』になるらしい。

昨年、ルーキーだった大谷はエンゼルスが彼に払ったサラリーの少なくとも2倍のマネーをもたらしたが、おそらくはその程度では済まないだろう。彼のサラリーは標準的なルーキー契約のもので54万5千ドルだった(エンゼルスはオータニに230万ドルの契約金と、日ハムに2000万ドルの譲渡金を払ったが、その見返りとして大谷を最低でも6年間保有する権利を有している)

エンゼルスはオータニがどのくらいの収入をもたらしたか正確な数字については言及を避けている。しかし、エンゼルスのジョン・カプリーノ球団社長によると、オータニと契約して以来、6社の新たな日本企業とのスポンサー契約をゲットしたとのことだ。

カプリーノ球団社長「新たなスポンサー契約の収入は6桁に届いた」

オータニが先発した5試合のホームゲームの観客は11%も増えた。もしその5試合でファンが平均的なチケット価格30.26ドル(Team Marketing Reportの調査による)を支払ったとすれば、エンゼルスのチケット収入は60万ドル増加したと思われる。

この数字にはオータニが打者として出場した試合の収入はカウントされておらず、飲食費、駐車場代、グッズ売り上げなども入っていない。MLBの調査では、昨年オータニのユニフォームはトラウトよりも売り上げが多かったということだ。トラウトと言えばメジャー最高の選手でエンゼルスの顔であるにかかわらずだ。

オータニが来たことで利益を得たオレンジ・カウンティの企業はエンゼルスにとどまらない。

コスタ・メサにある高級ショッピングモール、サウス・コースト・プラザは毎年2200万人もの客が訪れるが、同社のスポークスマン、デブラ・ガン・ダウニング女史によるとオータニがエンゼルスに来てから、日本人のグループ客が増えたという。ツアー会社はオータニをパンフレットのカバーに使い、オータニを追いかける日本のテレビ局クルーがここで写真を撮り、日本のオータニのファンに訴求している。

ダウニング女史「オータニ効果を実感しています」

アナハイム・ブリュワリーの共同経営者であるバーバラ・ゲロヴァックは昨年、年齢認証を求めた客が日本のパスポートを出すのを見てその影響を実感したという。

その試飲スペースと醸造所はアナハイムのダウンタウンにあり、エンゼルスタジアムから4マイルしか離れていない。夫と妻、そして11人の従業員という小さなビジネスだが、試合がある日は300ドル以上売り上げが増加し、それは大きなインパクトだった。

ゲロヴァック「とっても素敵な出来事だわ」

アナハイムとオレンジ・カウンティへの旅行やコンベンションをプロモートするVisit Anaheimによると、オータニのルーキーシーズンの昨年、およそ15万7千人の日本人がアナハイムを訪れたが、それはその前の2年間と比較して4%増加している。

Visit Anaheimのマーケッティング部門のチャールズ・ハリス副社長 「昨年もそうでしたが、今年オータニが復帰して以来、試合を見に来る人が爆発的に増えています。もちろんショーヘイ・オータニのおかげです」

US Travel Association(USTA)のジェフ・アジルニ氏によると、もちろん全ての日本人観光客がオータニを見たいわけではないが、エンゼルスは旅行トレンドの最前線にいられる幸運をわかっている。世界中からアメリカを訪れる人々で、プロスポーツを見てみたいという旅行客は増加傾向にあるからだ。

プロの試合というのはアメリカ文化の一部分に過ぎず、野球、バスケ、フットボールなどアメリカのプロリーグは高いレベルで競い合っている。USTAのデータによると、昨年アメリカを訪れた旅行者のうち25%がMLB、NBA、NFLの試合を見ることに関心があったという。

MLBのデータでは21%の日本人旅行客、そして全ての旅行者の11%がMLBの試合を見ることに関心があった。

多くの国際線の直行便があるエリア、南カリフォルニア、ニューヨーク、フロリダなどではその傾向はさらに顕著である。今月、USTAは年次エクシビションをアナハイムで開催したが、70カ国から6000社の旅行業者が参加した。

USTAのジェフ・アジルニ氏 「テーマパーク、歴史的施設、その他の観光地の展示に混じって、観光客の注意を引こうと12チームを超えるスポーツチームがエキシビションに参加しました。エンゼルスはもちろん、クリッパーズ、ダックス、ギャラクシー、サンディエゴ・パドレス、サンフランシスコ・ジャイアンツ、アリゾナ・ダイヤモンドバックスなどです」

日本の旅行代理店と独占的な契約を結び、そこから確定的な収益を上げる手法について、少なくとも現時点ではエンゼルスは断っている。その代わり、日本のMLBオフィスと協力して、観戦チケット、グッズ販売、スタジアムツアーがセットになった大谷ツアーパッケージをリリースしている。

カルピーノ球団社長 「我々の所には誰かしら日本語を話せる人が必ずいます」

来月25歳になるオータニだが、すでに日本の優れた大勢の野球選手の中でも、最高のスターかもしれない。大スターのイチロー・スズキが衰えて引退したところに大谷が現れた。日本人は単にオータニが同じ国の人間だから彼を見に遙々やってくるわけではない。オータニは投手と打者ができる希な選手なのだ。

オンライン旅行ガイドのケイ・シバタ 「彼は二刀流なのです。多くの人がとても関心を持っています。彼が日本人だからという理由だけじゃない。彼は極めて挑戦的なことをやろうとしているのです」

昨年、オータニは100年前のベーブルース以来となる、同一シーズンでホームラン15本と50イニング投球を達成した。ヒジの故障からの復帰のため、今シーズン彼が投げることはない。

来シーズンには再びマウンドに上がると予想されている。日本の旅行代理店にとってはある意味、今シーズンは理想的だ。登板日の前後の日だからといってオータニが出てこない日がないからだ。DHとして彼はほとんど毎日プレーしている。

日本アウトバウンド促進協議会のジュンゴ・キクマ議長 「旅行パンフレットに『大谷を見にロスとアナハイムへ行こう』と書けますからね。実際彼を見られるチャンスは高いと言えます。日本から南カリフォルニアへの旅行者はハリウッドやサンタモニカを組み入れることが多いです。中にはラスベガスやヨセミテ国立公園まで足を伸ばす人もいます。しかしディズニーランドやユニバーサルスタジオのようなテーマパークが最も人気があるのです。

ロスはテーマパークだけが目的という時代もありました。しかし今は変わりました。ある意味大谷のおかげです。年配者はテーマパークのためにやってくるのではありません。目的は他にあり、大谷を見ることはそれに含まれるでしょう。

加えて日本の旅行産業においてマーケットを牽引しているのは若い女性です。彼女らはアメリカでプレーする全ての日本人選手が好きなわけではなく、大谷だけが好きなのです。みんな彼はとてもハンサムだと思っていますからね。オータニがプレーするのを見るためにやってくるのです」

オータニが南カリフォルニアに居を移して1年半になる。もし日本のファンが1週間の日程で彼を見に来るとして、野球の試合を見る以上に何かお勧めのアクティビティがあるだろうか?

オータニはその質問に吹き出した。

オータニ 「誰かオフの日の過ごし方について教えて欲しいくらいですよ」

オータニは笑顔を浮かべてそう答えた。

日本の旅行代理店で働くダイスケ・サトウなら何か答えられるかもしれない。今月オータニを見るためにやってきたが、同時にディズニーランドの最新アトラクションである「スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ」も体験してきた。

サトウ 「これは凄かった。私はスター・ウォーズの大ファンではないが、まるで夢が現実になったようだった」

そのアトラクションはオータニを見るより素晴らしいのだろうか?エンゼルスタジアムのシートに腰掛けたサトウは、声のトーンを落として、ほとんどささやくように答えた。

「正直なところ、その答えはイエスです」

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