なぜラ・ステラは急にホームランが激増したのか

去年のエンゼルスの最大の嬉しい驚きが大谷の二刀流の成功だとすれば、今年の嬉しい驚きはホームランが激増したトミー・ラ・ステラである。

ラ・ステラは昨年までカブスとブレーブスで主に控えの内野手としてプレーし、今年からエンゼルスに加わった。デビュー以来の5年間、396試合でホームラン10本だった男が、今シーズンは出場38試合ですでにチームトップの11本のホームランを打っているのである。なんとこれまでの10倍以上のペースである。

私は今年の選手紹介のところでラ・ステラについて「長打力がないので、生き残るのは難しい」と書いてしまったので汗顔の至りである。

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この突然のラ・ステラの大爆発については私も大いに興味があり、何か特別な秘訣でもあるのか、まさかステロイドとかじゃないよね(失礼)とその秘密を知りたかった。するとタイムリーなことに今日の地元紙OC Registerのスポーツ面トップがラ・ステラのパワー開眼についての特集記事だった。日本語訳を紹介したい。


How the Angels helped Tommy La Stella find his power

(どうやってエンゼルスはトミー・ラ・ステラがパワーを発揮するのを助けたか)

適正なスタンスを見つけたことで、ラ・ステラはシーズン4分の1を消化した時点でキャリアの倍以上のホームランを打った

ここ数年のトミー・ラ・ステラのバッティングのビデオを見ると、どれが彼の本当のスイングなのかわからない。

シカゴ・カブスであまり出場機会がなかった彼は、その分試行錯誤する時間は多かったが、どれがいいのか検証するチャンスがなかった。

今年の春季キャンプの全期間と開幕後最初の1週を使って、ラ・ステラとエンゼルスの打撃コーチ陣は、多くのビデオを見て正解を見つけ出し、チームの予想外のホームランリーダーを見い出した。

まだシーズンの4分の1だと言うのに、ラ・ステラは11本のホームランを打ち、それは彼のこれまでのキャリア通算を1本上回っている。

ブラッド・オースマス監督 「彼のバッティング技術はチームに貢献してくれると思っていたが、あのパワーには驚かされているよ」

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アトランタ・ブレーブスとカブスでメジャー最初の5年のキャリアを過ごし、396試合でラ・ステラが打ったホームランは10本だった。シーズンハイは2017年の5本である。

30歳のラ・ステラは4月のうちにそれを超えてしまった。すでに3度の1試合複数ホームランを記録し、それは過去5年で1度しかなかったことだ。

ラ・ステラ 「自分も驚いている、なんて言いたくはないよ。それじゃまるで自分はボールが飛ばないと自分も信じてたみたいじゃないか。いつもボールは飛んでいたよ。ただここ数シーズン、打席ではそうはいかなかっただけさ。あまり打席に立つ機会がないんで、いざ打席に立たせてもらったらボールを飛ばすことは後回しになってしまうんだよ」

言い換えれば、ラ・ステラはほとんどの時間ベンチを暖めていたので、タイミングを取るチャンスに恵まれてこなかったのだ。与えられた打席では生き残るため、とにかくストライクをどこかへはじき返すことに集中していたのだ。

打席で辛抱強く好球を待ち、ボールを捉える目と技術を持っていることはキャリア通算の出塁率が.345あることに現れており、それがビリー・エプラーGMの目にとまったのだ。

春季キャンプを通して、ラ・ステラとヒッティング・コーチのジェレミー・リード、ショーン・ウッテン、ポール・ソレントは彼を解き放つために様々なスタンスを分析した。ここ数年、ラ・ステラは打席での構えを頻繁に変えていた。強く前傾することもあったし、バットを垂直に構えることもあれば、地面と平行にすることもあった。オープンスタンスに構えることもあった。

Embed from Getty Images

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コーチのウッテンはそれを全てふるいにかけた。

リード打撃コーチ 「我々がやったことは彼の過去の打撃フォームのビデオを全て見ることだった。ウッテンはビデオを見て素晴らしい仕事をやってのけた。我々はラ・ステラの理想的な構えを探し出すことが出来たんだ」

明らかになった理想的な構えとは、ヒザをほとんど曲げずに真っ直ぐに立ち、バットは肩のラインに対して45度傾けるのだ。

ラ・ステラ 「ビデオで見た限りではアスレティックな構えではないかもしれないが、自分にはしっくり来たし、自分の思い通りのスイングを促してくれるんだ」

メジャーのヒッティング・コーチの最大の仕事はバッターを良い構えで始動させることにあるという。良い構えとは向かってくるボールに対してナチュラルに最大の能力を発揮させられる構えである。

ラ・ステラに関して言えば、真っ直ぐに立つことで緩やかにリラックスすることができ、結果として両手が自由に動くようになって、極限まで効果的にボールをバレルゾーンへ運べるようになった。ボールに対してハードヒットする代わりに、スムーズなスイングを行うことでパワーをボールに伝えられるようになったのだ。

リード 「セットアップの手順で再現性の高い位置に構えることができるようにコーチしてきた。いくつかのドリルを行って、正しい位置に構えることを再現できるようにしたのだ。現在の成功は彼にしてみれば元々実現可能だったことを行っているに過ぎない」

ラ・ステラの打球の初速は大きく変わっていないが、打球角度は昨年の8.1度から15度へと上昇した。つまりこれがボールがフェンスを越えていく理由だ。ラ・ステラは高い角度で打ち出すことがゴールではないと言っている。理想的な構えが身についたことの副産物でしかない。実際、2015~2017年の打球角度は13.3度から15.7度と現在とあまり変わりない。

2017年のラ・ステラの成績は打率.288、出塁率.389で今シーズンのものからそれほど離れていない。違いは出場機会が増えたことだ。アグレッシブなスイングができるタイミングの取り方を会得することが可能になった。どこかへボールを打ち返すだけではなく、飛ばすことができるようになったのだ。

ラ・ステラ 「常時出場できることで安定したタイミングを取れるようになった」

水曜日に4安打放ち、打率は.301、出塁率は.388になり、右ピッチャーが先発の時はリードオフマンとして安定的に起用されるようになった。ホームラン数でラ・ステラを追いかけているマイク・トラウト(9本)の前でラ・ステラのバットが大暴れしている。

トラウトにホームラン数で勝っていることについてラ・ステラは 「続く限り楽しみたいね。長く続くとは思っていないけどね」


要するに打席での構えを変えただけらしいのだが、それでここまで成績が違ってきてしまうとは野球は奥が深い。彼にとっては出場機会がある程度確保されたことも好成績につながっているようだ。

それにしてもラ・ステラの変貌の可能性を見抜いたエプラーGM、そして実際に変貌させた打撃コーチ陣は素晴らしい仕事をしてくれた。

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2件のコメント

  1. いつもブログを拝見させて頂いてます。
    youtubeで大谷選手の活躍を挙げている動画のコメントの中にも1番バッターのラ・ステラ 選手と大谷と同い年のフレッチャー選手を賞賛するコメントが急上昇してます。

    アストロズが今年も磐石な選手陣に、エンゼルスはどこまで肉薄できるか楽しみでもあります。
    月末までのホーム戦で少しでも貯金を確保させて、去年のような大谷が離脱した途端に失速することがないようにオーツマス監督の采配を期待しています。

    1. シモンズが怪我で離脱したので、フレッチャーとラ・ステラにはさらにステップアップが期待されますね。彼ら二人に1、2番を打たせて、トラウト、大谷と続く打線が良いように思えます。問題は大谷の後でしょうか。プーホルス、カルフーン、ルクロイ、グッドウィン・・・早くアップトン戻ってこないですかねえ

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