エンゼルスの重荷、プーホルス問題を考える

急激な打撃成績の低下に加えて、守れない、走れないのプーホルスは限りなく不良債権に近くなってきた。もちろんチームの精神的な支柱という目に見えない貢献はあるものの、もはや名実ともにチームのリーダーはトラウトで、プーホルスの存在価値はあらゆる意味で失われつつある。

ここでプーホルスの最近の成績とナ・リーグ(カージナルス)時代(11年間)の成績をまとめておこう。

試合数 安打 2B HR 打率 打点 四球 出塁率 OPS WAR
2018 117 114 20 19 .245 64 28 .289 .700 0.5
2017 149 143 17 23 .241 101 37 .286 .672 -1.4
2016 152 159 19 31 .268 119 49 .323 .780 1.3
2015 157 147 22 40 .244 95 50 .307 .787 3.0
2014 159 172 37 28 .272 105 48 .324 790 4.0
NL時代
(平均)
155 188 41 40 .328 121 89 .420 1.037 86.6
(累積)

カージナルス時代と比べてここ数年の成績の落ち込みには目を覆いたくなる。それどころかエンゼルスに来てからの7年間、一度も3割は打てず、カージナルス時代は常に4割を超えていた出塁率もすでに2割台。エンゼルスへの移籍と同時に衰退が始まった感じで、カージナルス時代の輝きは消え失せてしまった。

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大きく落ち込む主要打撃成績
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昨年は8月末でリタイアしてしまったが、打率.245、ホームラン19本、OPSは.700に終わった。全盛時は毎年100前後選んでいた四球もわずか28だ。通算ホームランは633本に達しているが、700号を打つ可能性は限りなく低い。むしろ現在1982打点の通算打点を2000打点まで伸すことが彼の最終目標になっているかもしれない。彼自身、打点こそ自分の存在価値だと常々言っているからだ。

走塁はもっと悲惨
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Statcastが導入されて以来、各選手の走塁スピードが数値化されているが、2018年メジャーの平均スピードは秒速27フィートだ。30フィート超ならエリート、23フィート以下は鈍足ということになっている。下半身に多くの故障を抱えるプーホルスは測定対象となっているメジャー549選手中、なんと最下位の22.2フィートである。これは100メートル換算14.8秒で、日本の平均的な中学2年生と同等。これだけ足が遅いと内野は守るのが楽だ。ダブルプレーも取りやすい。走者としては1塁から単打で3塁へ行くのはムリ、2塁からはほとんどホームに帰って来られない。エンゼルスとしては終盤の競った場面でプーホルスが塁に出ると代走を送らざるを得ない。

参考までに下記にエンゼルスの選手の走力ランキングを貼っておく。大谷はチーム4位となっているが、左打者の有利さもあり、1塁到達スピードはチームトップだ。

かつての名1塁手もほとんど守れない存在に
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DHのないカージナルス時代にはほぼ全試合守備についていたが、エンゼルスに来てからはDHでの出場が増え続け、すっかり守らない選手になってしまった。現在でも守備は決して下手ではないのだが、足に問題を抱えているので、休ませながら出場させないとすぐに故障してしまう。実際、昨年は二刀流の大谷加入で1塁を守る試合が2017年よりも増えたため、8月にはヒザがパンクして手術、シーズン終了となってしまった。

貢献度の低さに比べて、突出して高い年俸
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WARとは「その選手が平均的な選手と比べて、何試合勝ち星を積み上げられたか」を示す指標だ。試合ごとに累積されていく。プーホルスはカージナルス時代の11年間で86.6ポイントも積み上げたが、エンゼルスの7年間ではわずか13.3ポイント、ここ3年に限ってはトータル・ゼロである。WARがゼロの選手は「平均的な選手」と言っているが実際には存在価値のない選手だ。勝利に全く貢献できていないのだから。

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エンゼルスはこのプーホルスに過去3年で78ミリオンも払ってきた。それが今後3年はさらに負担が増え、87ミリオンも払う契約になっている。元々、31歳の選手に10年契約というのは常識を覆す高額、長期契約だったわけで、エンゼルスとしても最後の2-3年は捨ててもいいつもりで契約したはずだ。その判断が成り立つためには少なくとも最初の7~8年はカージナルス時代並の働きをするという計算があったが、残念ながらその期待は見事に裏切られた。プーホルスとの10年契約は費用対効果という観点からは完全に失敗だった(チームリーダーとしての存在感や600号本塁打や3000本安打などによる興行的な成功はあったとしても)。

プーホルスに引退宣言させることが新監督の最大の使命?
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チーム強化の最大の障害がこの3年総額で87ミリオンの契約を残すプーホルスとなっているのは明白だ。もしこの契約がなければ、一流の投手を2人取れる。WARからしてプーホルスがいなくてもほとんどチームの勝利数に影響はないが、もし好投手が2人加われば、10~15勝は上積みできて一気に優勝戦線に加われるはずだ。

しかしチームとしては三顧の礼で迎え入れ、模範的な態度でチームを引っ張ってきたプーホルスを解雇したり、トレードすることは考えられない(今のプーホルスを獲得に動くチームは皆無だろうが)。なので、力の限界を悟ったプーホルスに今年中に自ら引退宣言してもらい、残り2年の契約が破棄されるのが一番ありがたい。

もしかしたらオースマス新監督の今年の最大の使命は優勝することよりもプーホルスに引退を決意させる事かもしれない。

プーホルスは昨年のヒザの手術を乗り越え、今年の開幕に復活を期していると伝えられるが、残念ながら打率.240、ホームランはせいぜい15本くらいだろう。もしかしたら開幕直後から打率2割に届かない状態が続くかもしれない。

そうなれば打順をクリーンアップから下位に下げられ、徐々に出番が減ってくるだろう。オールスターの頃にはたとえ健康であったとしても3試合に1回くらいに出番を減らされているかもしれない。

プーホルスも、自分の選手寿命がほぼ尽きかけていることは自覚しているはずだ。契約上はあと3年プレーできるとしても、彼の実直な性格からして、もうメジャーレベルでプレーできないと悟れば、潔く引退する可能性はある。実際彼は過去のインタビューで「現役や契約にはこだわらない」という事も述べている。

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