エンゼルスの新監督決定!経歴は?どういう野球をする?

退任したマイク・ソーシア監督の後任が決定した。昨シーズンまではデトロイト・タイガースの監督で、今年はエンゼルスのビリー・エプラーGMのアシスタントとして1年間働いてきたブラッド・オースマス氏(49)だ。

新監督を選ぶに当たり、エプラーGMは「選手とのコミュニケーションが取れること」と同時に「現代的な確率論からのアプローチができること」を挙げていた。前半の「選手とのコミュニケーション」は当たり前だ。それができないようでは個性派の揃うメジャーリーガーを一つのチームとしてまとめることはできない。

私が気になったのは後半の「確率論からのアプローチ」、つまりフライボール革命に代表されるデータを駆使する野球ができる人間という点だ。エンゼルスで19年間監督を務めたマイク・ソーシアはいわゆるオールドスクールの監督だった。データよりも自らの経験や数字に表れない相性を重視するタイプだ。

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データ重視のディポト前GMともぶつかったソーシア

2015年、データ分析に力を入れていた当時のディポトGM(現マリナーズGM)はソーシアやコーチ陣に多くのデータを提供し、それを試合でも活用するように指示したが、データ活用はあくまで補助的な手段と考えていた監督・コーチ陣と衝突した。

ディポトは、コーチ陣がデータよりも感覚に頼りすぎていると考えていたが、逆にコーチ陣はフロントのデータを信じず、選手に情報はうまく還元されていなかった。

ディポトは、ソーシアらを無視して情報を選手に直接提供すると通達したが、強引で強硬な姿勢に反発が出たのか、モレノ・オーナーが行き過ぎと判断したのかは不明だが、最終的にはディポトが球団を去ることになった。前年にはメジャー最高勝率を記録し、ア・リーグ西地区で優勝を重ねていた当時のソーシアの権限は絶大で、経験の浅いディポトは敵ではなかった。

ソーシア流の納得できない采配の数々

ソーシアのオールドスクール的な采配の典型は「左投手が投げる時は、右打者をぶつける」という戦法に如実に表れている。スキルのある左バッターよりも実力は劣っていてもとにかく右バッターの起用にこだわった。

ソーシアの信奉するこの戦法のため、左打者の大谷は左投手が先発するとなかなかスタメンで起用してもらえなかった。それでも代わりの選手が打てばいいが、今年のエンゼルスの右打者は左投手に対しても全く打てなかった。しかし打てなくても、打てなくてもソーシアはこの戦法を変えることはなかった。

8月末にプーホルスが左膝の手術のためシーズン全休となって大谷はようやく左投手が先発でもスタメンに名を連ねるようになった。それでもチーム最高のバッターであるトラウトと、彼に次ぐOPSを残す大谷の間にアップトンを挟んだりした。大谷よりは右のアップトンの方が左投手を打てるはずという考えは最後まで変わらなかった。

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単純に言えば、成績の良いバッターを上位で起用した方がいいに決まっている。右とか左とか関係ない。大谷のような若い選手は対左投手の経験値が足りないだけで、優れたバッターなら慣れれば左右に関係なく打ち出すはずだ。ソーシアの采配は若手の育成という観点からもマイナス面が目立つようになった。

また、早打ちで引っ張り専門のカルフーンを1番に起用し続けた理由もわからない。もっと球を見極めて四球も選べる出塁率の高いバッターを1番に据えるべきだろう。1,2番の出塁率が低いためトラウトはソロホームランを量産し、本塁打数の割に点の入らないチームとなってしまった。

エプラーGMが会見でわざわざ「確率論からのアプローチ」を選考基準に述べた背景にはこういったソーシアの硬直的な選手起用に対する不満があったのは想像に難くない。

そこで期待の高まる新監督のブラッド・オースマス氏だが、どのような経歴の持ち主だろうか。

アイビーリーグの名門ダートマス大学を卒業した捕手

ダートマス大学はニューハンプシャー州にある私立大学で、アイビーリーグの一角を占める名門大学。学力レベルは極めて高く、世界有数の入学難易度を誇る。入学生の94%が出身高校を上位10%以内の成績で卒業しており、その内の半数が首席または次席の成績で卒業しているらしい。

オースマスは1987年の高校卒業時にヤンキースから指名を受けたが、元々ドラフト前にダートマス大学への進学を表明しており、交渉当初も契約拒否の意向だった。しかしマイナーリーグに所属しつつ大学に通うという条件をヤンキースが飲んだためプロ入り。実際、マイナーの試合に出ながら大学を卒業した。つまりかなり優秀な人間なわけだ。叩き上げのマイク・ソーシアとは対極のタイプかもしれない。

その後1993年にパドレスでメジャー昇格して以来、2010年にドジャースで引退するまで18年間、捕手として1971試合に出場した。通算本塁打数は80本と少ないが、通算打率.251は捕手としてはなかなかの数字である。

引退後はデトロイト・タイガースの監督に

引退後は2012年の第3回WBC予選で、イスラエル代表監督を務めた。そして2013年11月にデトロイト・タイガースを68歳で勇退した名将ジム・リーランド監督の後任としてタイガースの新監督に収まった。

当時のタイガースは3冠王のミゲル・カブレラ、JD・マルチネス、投手にはジャスティン・バーランダー、マックス・シャーザー、デビッド・プライス、リック・ポーセロと言った今でも活躍する超一流の布陣を整えており、前年まで3年連続でア・リーグ中地区を制していた。2012年にはワールドシリーズにも出場したが、SFジャイアンツに3勝4敗で敗れている。

オースマスの率いた2014年も地区優勝して地区4連覇を達成したものの、高齢化する主力のケガに泣かされるようになる。2015年、カブレラ、バーランダーはケガでほとんど活躍できず、シャーザー、ポーセロらもトレードやFAで流出。前年の優勝から一転、最下位に沈んだ。この頃からタイガースはストーブリーグでは売り手に回り、戦力は低下する一途をたどる。

結局、それ以降タイガースの戦力が整うことはなく2017年シーズン終了後に、オースマスは監督を退任した。4年間の成績は314勝332敗である。

エンゼルスのGM補佐就任

タイガースの監督を辞めた後、2017年11月にエンゼルスのビリー・エプラーGMが自らの補佐としてオースマスを採用した。エプラーとしては後に監督に据えることを狙っての人事だったのかもしれない。

エプラーはこの1年間、オースマスとエンゼルスをどのように強化していくか散々話し合ってきただろう。二人とも大卒の秀才で、アストロズの巻き起こしたフライボール革命も十分に研究し、それを超えるにはどうすべきかの処方箋までできあがっているかもしれない。

オースマスは選手時代から熱心にデータを収集、分析して試合に活かしてきた。エプラーGMの言う確率論的なアプローチは彼の最も得意とするところだろう。ソーシアのような感覚的な経験論ではなく、誰もが納得できる戦法を採ってくれると信じたい。

大谷の起用はどうなる?

大谷選手の起用については新監督によっては二刀流を続けさせてもらえないのではないかと心配する声もあったが、私は全く心配していない。あれほどの投打に渡る才能を見せられればそれを最大限に利用しようと考えない監督はいないはずだ。実際二刀流をやらせたおかげで、トミー・ジョン手術を受けたにも関わらず来年は打者でチームに貢献できるではないか。どっちかを無理矢理止めさせるという選択肢は全く考えられないはずだ。

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