エンゼルスのオーナー、アルトゥロ・モレノという男

アルトゥロ・モレノ(63歳)

大谷選手の入団で注目を浴びるエンゼルスを、裸一貫から買収してオーナーになったアルトゥロ・モレノとはどんな男なのか

アリゾナ州出身。メキシコ系移民の子で、ヒスパニックとして初めて、アメリカのプロスポーツチームのオーナーになった。

2003年のシーズン中にエンゼルスを前オーナーのディズニーグループから買収した。ちなみに前年の2002年にエンゼルスはチーム史上初のワールドシリーズ制覇している。買収価格は1億8000万ドル(約160億円)だったが、今ではその5倍になっていると言われている。

貧しいメキシコ系移民の子であったが、野外広告のビジネスに成功し、会社上場、球団買収とアメリカンドリームを体現している。社員として入社した広告会社では10年足らずの間に、会社の利益を50万ドルから900万ドルにしたという超凄腕の営業マンだった。

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子供の頃から野球好きで、球団買収は永年の夢だったという。一野球ファンとして経営する姿勢はファンの間で高い支持を得ている。例えばチケット価格や球場内のビールが高すぎるとして値下げに踏み切ったことはモレノを語るエピソードとしてよく知られている。ホーム、アウェイを問わず、ほとんどのエンゼルスの試合を観戦している。ホームではオーナー席からしばしば抜け出して、ファンとコミュニケーションしている姿がよく見られる。

バーノン・ウェルズ事件
しかし、同時に選手獲得やチーム運営に対してしばしば口を挟み、それが逆にチームの弱体化を招いたという批判も強い。象徴的な例がトロント・ブルージェイズから2010年のオフにトレードで獲得したバーノン・ウェルズ外野手だ。ウェルズは成績に見合わない巨額の契約が4年も残っており、ブルージェイズの不良債権と思われていた。

しかし、モレノはウェルズの獲得を強力に働きかけ、当時のGMトニー・リーギンスに対して、「24時間以内にウェルズを獲得しなければ、お前はクビだ」と伝え、リーギンスはやむなくトレードに動いた。交換選手は当時長打力を売りに伸び盛りの捕手マイク・ナポリだった。このトレードは酷評され、「エンゼルスは史上最悪のトレードをした」「ウェルズを獲るくらいなら何もしないほうがマシだった」と言われるほどだった。

実際、翌2011年のウェルズの成績はどん底もいいところで、わずか1年ほどでレギュラーの座を追われ、退団、引退することになった。そして、気の毒なことだが、リーギンスはウェルズ獲得と成績不振の責任を取らされ、オフに退団に追い込まれた。一方で放出したナポリは主軸を打つほどに成長し、しばしばエンゼルス戦でも痛打を浴びせた。その後球団を渡り歩きながらも、今でも選手として現役を続けている。

ジョシュ・ハミルトン事件
2012年オフにはこれまたモレノの強い意向でテキサス・レンジャースの主砲ジョシュ・ハミルトンと5年12500万ドルでFA契約したが、これも大失敗だった。ハミルトンは薬物やアルコール中毒問題を当時から抱えていた。エンゼルスではケガと成績不振に苦しみ、離婚を機に再びドラッグやアルコールに手を出してしまった。この時、多くのチームメートはハミルトンを手助けしようとしたが、モレノは容赦せず、給料のほとんどを負担する形でレンジャーズへ出戻りさせてしまった。その後、レンジャース戦では実質的に給料を払っているハミルトンにしばしば痛打を浴び、エンゼルスファンを苛立たせた。2017年でようやくハミルトンの契約は終了し、エンゼルスはハミルトン問題から開放された。

アルバート・プーホールズ問題
2011年オフ、FAのアルバート・プーホールズと10年2億4000万ドルというメジャー史上2位の巨額契約を結んだ。すでに32歳になろうとしているプーホールズと10年契約はさすがに無謀と思われたが、モレノの強い希望で獲得に至った。

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プーホールズは今でもエンゼルスの主砲を任されているが、移籍後は期待された成績には程遠く、カージナルス時代の輝きを一度も放っていない。近年は足の故障に苦しみ、打率も2割台前半、ホームランも20本台にまで低迷している。しかしプーホールズとの契約はあと4年も残っており、不良債権化は目の前と言わざるをえない。

球団弱体化
これらの大物選手の獲得に伴って、若手の放出によるファームの弱体化、サラリー高額化による球団経営の圧迫を招いたという批判は根強い。実際2010年前後はプレーオフの常連だったのに、ここ3年はプレーオフにも進出できていない。5年前にはドアマットチーム(他者に踏みつけられるだけの弱いチーム)だったヒューストン・アストロズが若手の育成に成功し、ワールドシリーズを制覇したのと対象的に、エンゼルスのチーム力は長期低落傾向から脱していない。

大谷選手の入団を機に、エンゼルスが復活を遂げることを期待したい。

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