エンゼルス選手紹介 2020年(野手編)

2020年のエンゼルスの野手陣を紹介する。現役最高選手のマイク・トラウトを中心に大谷、アルバート・プーホルス、ジャスティン・アップトン、アンドレルトン・シモンズらが主軸を務めている。

カルフーンは放出したがナショナルズからMVP投票3位のレンドンを獲得して打線はさらに厚みを増した。シモンズ、アップトン、ラ・ステラなど昨年ケガや不振だった選手の復活もチームの躍進には欠かせない。

エンゼルスの打線構成のカギは一塁を誰に守らせるかだ。実績から言えばプーホルスだが、セイバーメトリクスの重要な指標であるWAR(*)がほぼゼロのプーホルスは理論上は起用しない方が戦力はアップする。

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私は昨年、プーホルスをスタメンから外し世代交代を促すことがオースマス前監督の仕事ではないかと書いたのだが、オースマスにプーホルスを外す度胸はなく、1年間スタメンで起用し続けた。その結果、一塁からはメジャー平均以下の貢献度しか得ることは出来なかった。知将ジョー・マドンはプーホルスのクビに鈴を付けることは出来るだろうか?

(*)WAR(ダブリュ・エー・アール、Wins Above Replacement)
打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す数値。「同じポジションの代替可能選手(Replacement)に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか」を表す。代替可能選手とはぶっちゃけ並以下の選手のことで、そういう選手を起用したのと比べて何勝くらい勝利数に貢献したかを表す。計算方法は非常に複雑だが、オールスタークラスで5.0くらい、平均的な野手や先発投手が2.0くらいだ。しかしプーホルスの過去3年のWARは-1.9、+0.5、+0.4だ。
WARがゼロやマイナスになると、誰と取っ替えても戦力がアップする、つまり事実上起用する価値のない選手ということになる。

想定される策はラ・ステラに一塁を守ってもらうことだ。ウルトラCとしてはアップトンを一塁にコンバートして、レフトをフレッチャーにするという手もある。アップトンをコンバートできれば外野の守備力も上がって守備面でもいい影響が出るだろう。

管理人の考えるベストオーダー

(1)ラ・ステラ(一)
(2)トラウト(中)
(3)レンドン(三)
(4)大谷(DH)
(5)アップトン(左)
(6)シモンズ(遊)
(7)グッドウィン(右)
(8)カストロ(捕)
(9)フレッチャー(二)

ここにアデルが台頭してライトのポジションを取ればさらに破壊力は増し、リーグでもトップクラスの打線と言って良いだろう。

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マイク・トラウト(28歳、中堅手)

走攻守に秀でたメジャー最高のスーパースター、3度目のMVP獲得

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右投げ右打ち、188cm、背番号27

2019年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.291 45 110 1.083 11

2019年春に2030年までの契約を結んだ。今季年俸は3,766万ドル。2030年(38歳のシーズン)まで毎年3,700万ドルが保証されている。この契約にはトレード拒否権は含まれているが、途中で選手側から契約解除できる権利(オプトアウト)は含まれておらず、実質エンゼルスとの生涯契約に等しい。

3度目のMVP受賞
2019年はキャリアハイとなる45本塁打を放つなど変わらぬ活躍を見せ、2014年、2016年に続き3度目のア・リーグMVPを受賞した。投票結果は1位トラウト、2位ブレグマン(アストロズ)、3位セミエン(アスレチックス)だった(西地区ばかりだな)。実質8年間のメジャー生活だが、8年連続でMVP投票の5位以内に入っているのは凄いとしか言いようがない。加えてこれまで2位も4回ある。

プレースタイル
トラウトのすごさは高いレベルでの安定感だ。彼の辞書には不振や不調という言葉がないかのように毎年、毎月安定した数字を残している。その基本にあるのは球をギリギリまで引きつけて、コンパクトなスイングでボールを叩けることだろう。特に低めのボールには滅法強く、低めのボールを決め球にする投手には辛い相手だ。

ただ主要打撃3部門のタイトルにはあまり恵まれず、2014年に打点王を獲得したことがあるだけだ。あと2012年には49盗塁で盗塁王となった。しかしリードオフマンから次第に主軸としてのバッティングを期待されるようになってから盗塁は漸減している。

守備に関しても俊足を活かした広い守備範囲を誇り、たびたびフェンス際でホームランボールをジャンピングキャッチする。唯一の弱点が肩の強さが平均並みなことと言われている。しかし2019年7月23日のドジャース戦でセンターからバックホームした送球は時速158kmを記録し、決して肩が弱いわけではないことを証明して見せた。

3年続けて故障者リスト入り
2017年にトレードマークのヘッドスライディングの際、左手親指の靭帯を断裂し約1ヶ月半の自身初の故障者リスト入りを経験した。2018年は8月に右手首の故障で2度目のDL入り。2019年9月には右足に神経腫である「モートン病」を発症、その除去手術を受けてシーズン終了となり、MVPは取ったが134試合の出場にとどまった。2016年以前はほぼ全試合に出場し続けてきただけに最近ケガが増えてきたことは少々気になるデータだ。

ブライス・ハーパーを遥かに超える成績
トラウトは同世代のスーパースターであるブライス・ハーパー(昨シーズン、ナショナルズからフィリーズに移籍)とよく比較されるが、成績的にはトラウトが圧倒している。デビュー以降の主要な数字を比較するとほとんどの数字でトラウトの圧勝だ。

試合 打率 本塁打 打点 四球 三振 盗塁 出塁率 OPS
トラウト(9年) 1199 .305 285 752 803 1118 200 .419 1.000
ハーパー(8年) 1084 .276 219 635 684 1012 90 .385 .897

トラウトは性格も真面目で謙虚。高校時代からのガールフレンドと2017年に結婚した。ビッグマウスで悪童のイメージが強いハーパーとはここでも対象的である。

ちなみにプライベートでは無類の気象マニアとして知られている。嵐が起きると追っかけているらしい。


大谷翔平(25歳、投手&DH)

右投げ左打ち、193cm、背番号17

別項掲載予定


アンソニー・レンドン(29歳、三塁手)

ワールドシリーズ制覇に導いたナショナルズの主砲

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右投げ右打ち、185cm、背番号6

2019年の成績(ワシントン・ナショナルズ)

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.319 34 126 1.010 6

2019年12月にエンゼルスと7年総額245ミリオンの契約を結んだ。オプトアウトは含まれていないので、36歳になるシーズンまでエンゼルスでプレーする。2020年の年俸は2607万ドル。

ナショナルズ時代
テキサス州ヒューストン出身。テキサスの私立ライス大学で4割近い打率と長打力を誇るスラッガーとしてならし、全米大学代表として日本にも来日した。2011年ドラフト1巡目(全体6位)でナショナルズから指名されてプロ入り。

入団から2年もたたない2013年4月にメジャー昇格すると早々と二塁のレギュラーを獲得。98試合に出場して打率.265、OPS.725の成績を残した。その後守備位置は三塁に変わるが順調に成績を伸ばし2017年以降は3年続けて3割をマークしている。

2019年はそれまで主砲のブライス・ハーパーがFAで抜けたため、名実ともにナショナルズの中心打者としてチームを牽引した。チームはナ・リーグ東地区2位ながらワイルドカードでポストシーズン進出を決めた。

大活躍の2019年ポストシーズン
ドジャースから王手をかけられた地区シリーズ第4戦で3打点を挙げ、続く第5戦では逆転勝利につながる本塁打を放った。カージナルス相手のリーグチャンピオンシップでも毎試合安打を放ち、チーム史上初のワールドシリーズ進出に貢献した。

アストロズとのワールドシリーズでは王手をかけられた第6戦でレンドンは5打点をあげて逆王手をかけた。第7戦は6回まで2点をリードされる苦しい展開だったが、7回にレンドンのソロとケンドリックの2ランで逆転してそのままワールドシリーズを制した。レンドンはポストシーズン全体で打率.328、5本塁打、15打点、OPS1.003の大活躍だった。

この年レンドンはナショナルリーグのMVP投票で3位に入った(1位ベリンジャー、2位イエリッチ)。

エンゼルスへ移籍
2019年オフ、エンゼルスはゲリット・コールの獲得を目論んだが、ヤンキースとの争奪戦に敗れるとすぐに方針を転換し用意した資金をレンドンとの契約につぎ込んだ。

最大の目標だったエース級の先発投手の補強は叶わなかったが、永年の課題であった三塁手をレンドンで埋めることができたのは大きな収穫だ。何しろ三塁は2009年のチョーン・フィギンスを最後に固定できず、トレードやコンバートもことごとく失敗してきたエンゼルスの鬼門だった。2019年、ポジション別のOPSでエンゼルスの三塁手はメジャー最低だったのだ。

レンドンはエンゼルス史上最高の三塁手になる可能性がある。

2020年の展望
2020年、レンドンはトラウトの後を受けて3番を打つと思われる。トラウト、レンドン、大谷、アップトンと続く打線の迫力は満点だ。特にトラウト、レンドンのOPS 1.000を超える選手が2人も続くのは相手投手からしたら恐怖でしかないだろう。


ジェイソン・カストロ(32歳、キャッチャー)

元ドラ1のベテラン捕手。左打ちなので打線にはバランスをもたらす

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右投げ左打ち、190cm、背番号16

2019年の成績(ミネソタ・ツインズ)

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.237 13 30 .767 0

2020年1月にエンゼルスと685万ドルで1年契約(FA)。

かつてのエリート捕手
出身は北カリフォルニアのオークランド近郊で、名門スタンフォード大学を出ている。2008年のドラフトでヒューストン・アストロズから1巡目(全体10位)という非常に高い順位で指名されプロ入りした。2010年6月にメジャーデビューすると2013年には正捕手の座をつかみ、打率.276、18本塁打、56打点、2盗塁という成績をマークしオールスターにも選ばれた。しかし2017年にツインズに移籍後は出番は減ってしまった。

左打ちなので右打者の多いエンゼルスには有効だが、逆に左投手にはからきし弱い。昨シーズンは左投手との対戦は40打数あったがOPS .347である。キャリア通算では対右だとOPS .703だが、対左は .553と落ち込む。

守備面に目を移すとキャリア通算の盗塁阻止率は26%とあまり高くない。昨年は34回走られて、刺したのは7回だけだ(19%)。一方で際どいボールをストライクと言わせるフレーミング技術には定評がある。

どうする今後の捕手戦略?
2000年代はベンジー・モリーナ、マイク・ナポリという好捕手もいたエンゼルスだが、近年は取っかえ引っかえのイメージしかない。2019年、エンゼルスの捕手陣(ルクロイ、スミス、スタッシ)のOPSは .638(メジャー25位)で打てる捕手の補強は急務だった。

カストロは32歳という年齢からして長期を見据えての獲得でないことは明らかだが、エンゼルスはマイナーにも捕手のいいプロスペクトがいない。来オフにFAとなる大物捕手リアルミュート(フィリーズ)との契約に大金を投じるだろうか?


ジョー・アデル(20歳、外野手)

エンゼルス期待のプロスペクト!今年中のデビューが見られるか?

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右投げ右打ち、190cm、背番号25

2019年の成績(AAA, AA, A+)

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.289 10 36 .834 7

ケンタッキー州ルイビル出身。2017年エンゼルスからドラフト1巡目(全体10位)で指名されたエンゼルスで最高のプロスペクトである。MLBのプロスペクト・ランキングでも全体5位に入るほどの超有望株だ。2019年秋にプレミア12大会のアメリカチームの一員として来日し、日本のファンにも強い印象を残したことは記憶に新しい。

まだメジャー40人枠にも入っていないので取り上げるには時期尚早かもしれないが、おそらく今年中にはメジャーデビューすると言われている。右翼のレギュラーであるグッドウィンの状態次第だが、トラウトやアップトンが故障でもすれば結構早い時期に上がってくるかもしれない。

打撃の確実性にはやや課題があるものの、パワー、走力、送球、守備の全てに秀でた万能型選手だ。高校時代はピッチャーとして150キロ代後半の速球を投げていたという。父親はNFLからドラフト指名されたこともあるアメフト選手で、父親譲りの俊足も見物(みもの)である。


アルバート・プーホルス(40歳、1塁手&DH)

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700本塁打まであと44本だが、今年は控えの出場が多くなるかも

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右投げ右打ち、190cm、背番号5

2019年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.244 23 93 .734 3

2011年に2021年までの10年2億5400万ドルの超大型契約を結んだ。2020年(9年目)の年俸は2,900万ドル。

「史上最高の右打者」
ドミニカ共和国出身。16歳のときに家族とともにアメリカに移住し、1999年6月カージナルスにドラフト13巡目(全体402位)という低い順位で指名を受ける。しかし入団後はメキメキと頭角を現し、マイナーはわずか1年で通過、メジャーデビューした2001年に打率.329・37本塁打・130打点という新人離れした成績を挙げた。シーズン終了後にはナ・リーグ新人王を満票で受賞し(史上9人目)、MVP投票でも4位に入った。当時はポジションはまだ固定されておらず、一塁、三塁、外野の守備についていた。ちなみに2001年にはオリックスからカージナルス入りした田口壮選手がチームメートにいた。

その後カージナルスでは11年間に渡り、毎年3割2分、40本塁打前後の成績を上げ(MVP受賞も3度)、「史上最高の右打者」の呼び名をほしいままにした。そして2011年のオフにFAとなりエンゼルスと10年契約を結んだ。32歳の選手に10年契約は長すぎるのではないかという批判も多かったが、当時はそれほどの大物だった。

成績低下に悩むエンゼルス移籍後
期待されて入団したプーホルスだったが、エンゼルスでは1年目から打撃不振に苦しんだ。4月の本塁打はゼロ。最終的に12年連続となる30本塁打に到達し、2年ぶり11度目の100打点もクリアした。しかしOPSは12年目で初めて.900を切り、本塁打数も自己最少にとどまった。
その後も爆発的な打棒は影を潜め、成績は毎年緩やかな下降線を描いた。2017年にはマイルストーンとなる通算600号本塁打を、2018年には通算3000本安打も記録したが、打率、本塁打ともにキャリア最低に近い成績に終わっている。
結局移籍後の8年間、成績はカージナルス時代には遠く及ばず、一度もカージナルス時代の輝きを放っていない。

通算打率 本塁打(年平均) 打点(年平均)
カージナルス時代(11年間) .328 40.5本 120.8点
エンゼルス時代(8年間) .258 26.4本 93.3点

プーホルスが成績を落とした理由、特に打率が大きく低下した理由に足の故障からくる走力の著しい低下がある。度重なる足の裏の故障/手術で、1塁までの到達に恐ろしく時間がかかる。相手からすれば内野安打の心配がないため、内野守備陣は定位置よりかなり後ろで守ることができる。後ろで守られると鋭い打球でも内野の間や頭上を抜くことが難しくなるためヒットゾーンは狭くなる一方だ。

また二塁にランナーでいる場合シングルヒットではホームに帰って来られない、一塁ランナーとしても普通の選手なら三塁への進塁が十分可能な打球でも二塁止まりということが多く、ランナーとしてはお荷物以外の何物でもない。そのため1点勝負の試合では終盤には代走を出されることが多い。

通算700号まであと44本だが、果たして達成可能か?
プーホルスとの契約は2021年まであと2年残っている。契約内容から言って彼を放出することは不可能なため今年もスタメンに名を連ねるだろうが、もうクリーンアップを打つことはないだろう(6~7番が有力)。しかし知将マドン監督ならば思い切って先発を外し代打専任とするかもしれない。通算700本塁打まであと44本だが残りの2年での達成はかなり微妙に思える。

今年は大谷の二刀流が復活するので、大谷がDHで出場する試合は一塁を守り、投手として投げるか休養の場合はDHを打つことになりそうだ。しかしプーホルスのここ3年のWARは-1.9、+0.5、+0.4だ。ほぼゼロに近いということは戦力的には起用する意味がほとんどないということだ。それならばプーホルスを控えにして、一塁ラ・ステラ、二塁フレッチャーとした方がよいだろう。

実直な人柄
プライベートでは離婚歴のある女性と結婚しているが(プーホルス自身は初婚)、その女性の連れ子がダウン症であったため、プーホルス自身も積極的にダウン症児のためのチャリティ活動にかかわっている。性格は誠実で、謙虚、人格者として知られる。カージナルス時代の同僚であった田口壮氏(現オリックスコーチ)との親交も続いている。契約が契約なだけに批判されることも多いが、野球選手としても人間としても真に尊敬に値する人物である。


アンドレルトン・シモンズ(30歳、ショート )

芸術的な守備を誇るメジャー最高のショートが復活を期す

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右投げ右打ち、188cm、背番号2

2019年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.264 7 40 .673 10

2020年は総額5800万ドルの7年契約の最終年で、年俸は1500万ドルである。今シーズン後にFAになるので契約延長するのか移籍するのかチームにとってもシモンズにとっても重要な1年になる。シモンズと言えばメジャー最高と言われるショートの守備。これまで4度のゴールドグラブ賞、歴代最多となる6度のフィールディング・バイブル・アワードを受賞している。

カリブ海のオランダ領キュラソー島の出身
カリブ海に浮かぶ、オランダ領アンティルのキュラソー島出身で同郷の先輩であり日本の楽天でもプレーしたアンドリュー・ジョーンズに憧れて野球を始めた。

進学したウエスタン・オクラホマ州立大学では投手として最速157キロを計測するほどの強肩を誇っていた。2010年のMLBドラフト2巡目(全体70位)の高い順位でアトランタ・ブレーブスに遊撃手として指名され、実質2013年よりメジャーに定着した。2016年よりエリック・アイバーの後釜としてエンゼルスにトレードで加入した。

圧倒的な守備力
とにかくメジャー随一の華麗な守備を誇る。三遊間への深い打球が飛んだときこそシモンズの見せ場である。深い位置で捕球して矢のような送球を一塁へ送る。また不完全な体勢からも早く、正確な送球を送ることができる。

MLBのデータサイトであるbaseball-reference.comではWARの守備版であるDefensive WARの累積ランキングを発表しているが、シモンズは現役選手として最高の第14位に顔を出している。上位にはオジー・スミスを筆頭に伝説的な名手が並ぶ。シモンズも引退までにさらに数値を積み上げて、おそらくはメジャー歴代ベスト5には入ってくるだろう。

また2014~2018年の累積DRS(*)は現役選手中ダントツの+124.0点である。2位がカブスのジェイソン・ヘイワード外野手の+83なので、シモンズの凄まじさがよくわかる。

(*)DRS (Defensive Runs Saved)
平均的な選手を0点とし、その選手に比して守備で何点失点を防いだかを示す指標。例えばあるシーズンのDRSが+5であると、その選手が平均的野手と比べてシーズンで5点防いだということになる。逆に-5ならば、平均的野手と比べて5点余計に与えたということになる。
1年間で+10なら守備の名手、+15以上ならゴールドグラブ賞候補、逆に-10なら貧弱な守備、-15なら最悪レベルである。2018年のシモンズは+21でメジャー2位タイだった。

シモンズはゴールドグラブ賞をショートで4度受賞しているが、この賞はコーチや選手の投票で行われるため、打撃を含めた存在感や印象度などで左右されることが多く、本当に守備の上手さを評価しているとは言い難い。一方純粋なデータに基づいてセイバーメトリクスの専門家の投票で守備位置別に選ばれるフィールディング・バイブル賞をシモンズはショートのポジションで2013年より6年連続で受賞した。

WBCの常連
WBCに出場するとシーズンの調整が狂うという理由で出場を辞退する選手も多いが、シモンズは「WBCに出た方が調子もいいし祖国代表でプレーしたい」と言い、招集があった13年と17年の過去2回ともオランダ代表として出場している。

ケガに泣かされた2019年、復活を期す2020年
2016年に加入して以来、華麗な守備と堅実な打撃でエンゼルスの打線の核を担ってきたが、2019年は故障に泣いた1年となった。5月20日のミネソタ・ツインズ戦で左足首の捻挫を負い、約1か月離脱。復帰後も同じ所を痛めて8月4日に再び故障者リスト入り。8月後半に復帰するも調子は上がらず103試合の出場にとどまった。打率.264、OPS .673ともにエンゼルスの4年間では最低の成績に終わった。規定試合数に到達しなかったこともあり守備の各賞も逃した。

2020年は復活を期す年になるが、故障前と同じレベルの守備力を維持できるのかが試される。どんなに素晴らしいショートでも30代になると動きが悪くなってサードやセカンドにコンバートされるケースも多い。今年で31歳となるシモンズにとって2020年は契約最終年でもあり非常に重要な年になるだろう。

趣味は料理。なおオランダ語、スペイン語、英語、フランス語、パピアメント語の5ヶ国語を話すことができるらしい。


ジャスティン・アップトン(32歳、レフト)

ケガで始まりケガで終わったキャリアワーストの2019年

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右投げ右打ち、185cm、背番号9

2019年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.215 12 40 .724 1

2017年8月31日にタイガースからエンゼルスへ移籍。オフにエンゼルスと2018年から5年1億600万ドルで契約。2020年の年俸は2100万ドル。

高校時代から将来を嘱望された逸材
バージニア州出身。高校時代から俊足巧打のショートとして最高の評価を受けていた。2005年にMLBドラフト全体1位でアリゾナ・ダイヤモンドバックスから指名される。ちなみに3歳上の兄メルビン・アップトン・ジュニアも、2002年にタンパベイ・デビルレイズから1巡目(全体2位)で指名されており、史上最高のドラフト順位の兄弟である。

驚異的な身体能力を誇るアスリートで、スケールの大きさ、攻守走に優れた素質から早熟の5ツール・プレーヤー、ケン・グリフィーJr.二世と呼ばれた。ダイヤモンドバックスでショートから外野手に転向しメジャーデビューを果たす。スピードとパワーをともに揃えたプレースタイルでレギュラーの座を掴んだ。

その後ブレーブス、パドレス、タイガースと移籍するが13年間のメジャー通算打率は.266とやや物足りない。とにかく好不調の波が大きくなかなか1年を通じて安定した成績を残せていない。また最近は外野守備でも緩慢な動作で長打を許してしまうことが増えてきた。

しかし2017年はタイガース/エンゼルスで、自己最高となる35本塁打・109打点・OPS .901をマークした。

ケガで始まり、ケガで終ったキャリアワーストの2019年
2018年の出場は145試合にとどまったものの、自身3度目の30本塁打を記録し長打力を見せつけた。2019年はトラウト、大谷と並び打線の核として期待されたが、こともあろうか開幕直前のオープン戦で守備中に右足親指を負傷し故障者リストに入ってしまった。6月17日の復帰後はまずまずの成績を残していたがオールスターを過ぎると急降下。9月11日には右ヒザの手術が必要となりシーズン終了。出場はわずか63試合、打率 .214はキャリア最低、OPS .724とホームラン12本もルーキーイヤーに次ぐキャリアワースト2位の惨憺たる成績で終わった。

復活なるか2020年
2020年はケガからの復活を期す年になる。トラウト、レンドン、大谷の後を打つことになるだろうが、アップトンが打率.260、30本塁打、OPS .800くらいの数字を残してくれれば超強力な打線になる。彼にしてみれば平均的な数字ではあるが加齢やケガとの戦いになるかもしれない。

あと年々守備力は低下している。昨年も緩慢な動きで長打を献上するシーンが時折見られた。プロ入り後に外野に転向したのだが、アマチュア時代は全米屈指の遊撃手だった。なので一塁にコンバートすることはできないのだろうか?プーホルスを控えにして、一塁アップトン、二塁ラ・ステラ、左翼をフレッチャーにする布陣はかなり強力でハマりそうな気がする。復活を期す選手にいきなりコンバート指令というのは攻守で負担が大きいかもしれないが、魔術師と言われるマドンならやってくれそうな気がする。


トミー・ラ・ステラ(31歳、二塁手)

大爆発の2019年前半、自打球骨折が悔やまれる

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右投げ左打ち、180cm、背番号9

2019年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.295 16 44 .832 0

2018年オフにシカゴ・カブスからトレードで獲得(交換選手はマイナーの投手)。2020年は1年325万ドルで契約(調停回避)。

驚きのホームラン連発
昨年、最も驚きだったのがラ・ステラの大爆発だ。4月の7本塁打はチーム最多で5月26日にトラウトに抜かれるまでチームトップの12本を放った。ラ・ステラは2018年までカブスとブレーブスでずっと控えで、デビュー以来の5年間396試合でホームランはわずか10本、シーズンハイは2017年の5本だったのだ。その男がわずか1ヶ月半でキャリア総数を上回ったのだ。加えて5年で1度しかなかったマルチ・ホームランを3度も記録した。

私は昨年の選手紹介のところでラ・ステラについて「長打力がないので、生き残るのは難しい」と書いてしまったので汗顔の至りである。

元々打席で辛抱強く好球を待つタイプで選球眼は良かった。キャリア通算の出塁率は.345だった。エプラーGMも左打者が少ない打線にバランスを持たせるために獲得したのだろうが、まさかこれほど打つとは思わなかったはずだ。

ラ・ステラが急にホームランを打ち始めた理由は打席での構えの改良が大きいという。それまでもクルクルと構えを変えてきたのだが、エンゼルスのウッテン打撃コーチとの二人三脚でキャンプ中に理想的な構えを発見した。あとは出場機会が増えたために常にタイミングを取る機会を得られたことが大きかったという。

スカッグス急死の直後に自打球骨折
自身初のオールスターにも選ばれていたラ・ステラだったが、スカッグスが急死した直後の試合(7月2日)に自打球を当てて右足を骨折し、復帰したのは9月27日と後半をほぼ棒に振ってしまった。フル出場していたら30本近くホームランを打ったかもしれないと思うと残念で仕方がない。

フレッチャーとどのように出場機会を分け合うのか
2020年は当然レギュラーとしての出場が期待されている。出塁率も高いのでトラウトの前で1番を打つことになりそうだ。問題は守備位置。二塁が定位置だがフレッチャーとかぶってしまう。ラ・ステラかフレッチャーのどちらかを外すのは非常にもったいない。マドン監督がどのような起用するのかまだ明らかでないが、ラ・ステラを一塁に回し、フレッチャーを二塁にする案も浮上している。もしくはラ・ステラは二塁、フレッチャーをライトで起用するかもしれない。


デビッド・フレッチャー(25歳、内野/外野手)

小柄ながら内外野が守れて勝負強さが光るファイトマン

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右投げ右打ち、175cm、背番号6

2019年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.290 6 49 .734 8

2020年はメジャー最低保障年俸(約56万ドル)。2018年にエンゼルスでメジャーデビュー。元々内野手だが外野もできるユーティリティ・プレーヤー。身体は小さいがファイトあるプレーと勝負強いバッティングでレギュラーを掴んだ。エンゼルスがワールドシリーズを勝った時の名ショート、デビッド・エクスタインを思わせる。

長打力こそないが、チャンスに強いヒットメーカー
2019年はダントツチーム最多の173本のヒットを放った(2位はトラウトの137本)。これはア・リーグ全体でも13位にランクされる数字だ。2塁打30本もチームトップ。出塁率はトラウト(.438)に次ぐチーム2位(.350)で、ホームランこそ少ないが49打点はチーム5位だ。WARもトラウト(8.3)に次ぐチーム2位の3.8を記録した(大谷の2.5よりも高いことは注目に値する)。キャッチャーとファースト以外は全て守れるし、好守で多大な貢献をもたらした。

ケガ人がいなければ2020年はセカンドをラ・ステラと争うことになる。しかしフレッチャーとラ・ステラはどちらも外しがたい。管理人はプーホルスを控えに回しラ・ステラ一塁、フレッチャー二塁が一番いいと思うのだが。


ブライアン・グッドウィン(29歳、外野手)

解雇からワンチャンスを掴みレギュラー定着へ

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右投げ左打ち、183cm、背番号18

2019年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.262 17 47 .762 7

2020年は1年220万ドルで契約(年俸調停で勝利)。

2011年にドラフト1巡目(全体34位)でナショナルズから指名されプロ入り。2016年にメジャーデビュー。2017年は控え外野手としてメジャーに定着し、74試合に出場して打率.251、13本塁打、30打点、6盗塁を記録したが、2018年7月にロイヤルズへトレードされた。

アップトンのケガで得たワンチャンスを掴んでレギュラーへ
しかし2019年開幕直前にロイヤルズからウェイバーされた(要はクビ)。そこにアップトンの故障で外野が手薄になったエンゼルスが急遽獲得に動いた。当初は「アップトンがケガから戻ってくるまでのつなぎだろう」と思われていたが、意外にシュアなバッティングでアップトン復帰後も出場機会を掴み、結局136試合に出場した(それまでの年間最多出場は75試合だったので倍増に近い)。最後はやや息切れしたがそれでも9月上旬までずっと2割8分以上の打率をキープし続けた。これはトラウト、フレッチャー、大谷に次ぐ高さだった。

2020年はライトのレギュラーが濃厚だ。しかしフレッチャーやさらにジョー・アデルも控えているのでポジション争いは厳しいが、.280以上の打率を残せばレギュラー定着も可能だろう。


マックス・スタッシ(28歳、キャッチャー)

カストロのバックアップ捕手。打撃は大丈夫か?

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右投げ右打ち、178cm、背番号33

2019年の成績(アストロズ/エンゼルス)

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.136 1 5 .378 0

カリフォルニア州出身。兄や叔父がメジャーリーガーで、父親もマイナーでプレーしたという野球一家に生まれる。プロ入りは2009年、アスレチックスからドラフト4巡目(全体123位)で指名された。

2013年にアストロズにトレードされると同年メジャー初昇格を果たした。しかし2017年までの5年間は出場機会に恵まれず、わずか49試合、89打席しかプレーさせてもらえなかった。2018年にはブライアン・マッキャン、マーティン・マルドナドらを抑えてようやく出場のチャンスを掴み、88試合で打率 .226、8本塁打を記録した。

エンゼルス加入の経緯
2019年、エンゼルスは正捕手として獲得したルクロイのキャッチングがあまりにもお粗末で、パスボールのオンパレードに頭を痛めていた。7月、ルクロイが脳震盪で故障者リストに入ったのを機に後釜を探し始め、白羽の矢を立てたのがアストロズのスタッシだった。スタッシは守備力は高いものの、打率は1割台の低空飛行が続いていたが、それには目をつむって獲得した(同時にルクロイは解雇)。

スタッシはエンゼルス加入後、守備ではまずまずの貢献を見せたが打撃は酷かった。20試合に出場して42打数3安打、打率 .071、本塁打0本。いくら何でもこの数字は苦しすぎる。この成績は一時的なもので2020年にバウンスバックするはずという楽観的な見方もあるが・・・・基本的にはカストロのバックアップを務めるだろう。カストロが左投手を苦手にしているので、相手先発が左腕ならば先発起用もあるだろう。


ルイス・レンヒーフォ(23歳、二塁手)

破談したドジャースとのトレード話で注目。ポテンシャルはそんなに高い?

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右投げ左右打ち、178cm、背番号4

2019年の成績

打率 本塁打 打点 OPS 盗塁
.238 7 33 .685 2

2020年はメジャー最低保障年俸(約56万ドル)。

ベネズエラ出身。2014年にシアトル・マリナーズと契約してプロ入り。その後レイズへトレード。2018年4月、エンゼルスが元ドラ1の一塁手CJ・クロンとの交換で獲得した。クロンはエンゼルスでは余剰戦力気味だったが、それなりに数字を上げていたクロンとの交換にしてはエンゼルスがだいぶ損した印象だ。

2019年4月にメジャー昇格すると、ラ・ステラ、シモンズ、コザートら内野手の相次ぐ故障もあって90試合に先発出場したが、打撃成績は平均以下だった。

ドジャースとのトレード話
レンヒーフォの名前が大きく報じられたのは2020年2月上旬にドジャースとのトレードが浮上した時だ。エンゼルスは36本塁打を放ったピーダーソン外野手に加えて、ドジャースで4番手の先発投手だったストリップリングも獲得するという。それだけでも十分魅力的な話なのだが、その交換相手がなんとレンヒーフォ(あとマイナー選手)というのにビックリした!エプラーGMは魔術師か!?

OC Register紙:内野はレンドーンで大補強!残るはシモンズ延長問題(2020/2/5)

しかし何をとち狂ったか、オーナーのモレノがトレードに時間がかかっている事に腹を立て、ケツをまくってトレード話から離脱してしまったのだ。こんなに美味しいトレードを蹴ってしまうとは何というバカなオーナーかとファンを激しく失望させた。

OC Register紙:外野はアップトンの復活とグッドウィン次第(2020/2/10)

一方でドジャースがレンヒーフォにそれほどの価値を見いだしていたことに驚いた。ドジャース側の事情もあろうが、控えの内野手で目立った活躍もしていないレンヒーフォにレギュラー2人を差し出してもいいと考えた理由は何なのか?全くの謎であるがその答えはレンヒーフォ自らが出すしかない。1年目は意外なパンチ力も見せたが、打率、OPSともにポジションを争うラ・ステラやフレッチャーにはとても及ばない。今後どのようなステップアップを見せるかにかかっている。


その他メジャー定着を狙う選手

2018年以降、若手選手を何人もメジャーデビューさせたが、多くは打撃面で苦労しておりインパクトのある成績を残せていない。正直なところ、トラウト以降オールスターレベルにまで育った若手は皆無である。育成が悪いのかスカウティングがおかしいのか、貧弱なファームはエンゼルスの長年の課題だ。それでも今期以降メジャーに定着してレギュラーを虎視眈々と狙う選手を紹介する。

  • マット・タイス(内野手)(24歳、右投げ左打ち、183cm)
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    2016年ドラフト1巡目(全体16位)でエンゼルスが指名。2019年メジャー昇格。コザートが使い物にならなかったので代わりに三塁を守った。53試合で8本塁打を放ってなかなかの長打力を見せたが、打率( .211)をもう少し上げたいところだ。

 

  • ジャレッド・ウォルシュ(内野手/救援投手)(26歳、左投げ左打ち、183cm)
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    打者が本職だが左の救援投手として投げる二刀流選手でもある。2019年5月にメジャーデビューすると31試合89打席で打率 .203、1本塁打、OPS .605の成績だった。投手としては5試合に登板して5.0イニング、防御率1.80の数字を残した。
    しかし今シーズンのルール変更で、ウォルシュは「二刀流」として出場できる条件を満たしていないため、彼が投球できるのは延長戦や6点以上差が開いた時だけになった(詳細はメジャーの新ルール(2020年版)を参照)。
    来年二刀流選手として登録されるには、点差の開いた試合や延長戦で少しずつ投げて20イニング投球することが目標になる。

 

  • タイラー・ワード(内野手)(26歳、右投げ右打ち、185cm)
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    2015年のエンゼルスのドラフト1巡目指名(全体26位)。もともと捕手だったが打棒を活かすべく2018年に内野手にコンバートされた。2018年にメジャーデビューし、この2年で51試合に先発出場したが打率 .181、本塁打7、OPS .625と壁に当たっている。さらなる打撃の向上が必要。

 

  • マイケル・ハーモシヨ(外野手)(25歳、右投げ右打ち、183cm)
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    2018年にメジャーデビューしたスピード豊かな外野手。しかし2年間、29試合の先発出場で打率 .183、OPS .577と打撃面で苦戦している。エンゼルスの外野にはアデルやマーシュといった有望プロスペクトが控えているのでよほど覚醒しなければメジャー定着は難しいだろう。

 

  • アンソニー・ベンブーム(キャッチャー)(30歳、右投げ左打ち、188cm)
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    2012年にエンゼルスが指名した選手だが、芽が出ないうちにルール5ドラフトでロッキーズが獲得。その後レイズを経て2019年再びエンゼルスへ。2019年がメジャーデビューだが打率 .145、OPS .349と打撃面では全く通用していない。エンゼルスとしては控えの捕手スタッシが使い物にならなければベンブームを起用するだろう。

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